政策や提案

2004年 11月19日

2005年度熊本県予算編成についての要望・提案


熊本県知事 潮谷義子 様

  2005年度熊本県予算編成についての要望・提案

 政治・経済の大きな変動、とりわけ地方政治をめぐる激動のなか、県知事として積極果敢に諸課題解決のために立ち向かっておられることに、あらためて深く敬意を表します。
 去る3月12日、日本共産党熊本県委員会として、2期目にむかわれる潮谷義子知事に対して、4年間の川辺川ダム、荒瀬ダム、福祉、教育等への対応、実績を評価し、対立候補を擁立せず、同時に今後の県政運営においては、是々非々の立場で対応していくーという立場から、2期目の県政において留意していただきたい重点的な課題について提案を行いました。今回の2005年度県予算についての要望・提案は、3月12日の提案を基本に、その後の状況を踏まえ、補充したものです。 
 知事におかれては、県財政をめぐる厳しい情勢、県政運営上の複雑な事情のなか、「要望・提案」の主旨、課題について、ご検討、ご配慮いただきますようお願いいたします。


T、2005年度予算編成にあたっての基本姿勢について

 知事は、2期目に臨むにあたって、「熊本の将来像」として、「確かな産業のうえで、豊かな自然、おいしい水、食べ物、その安心・安全な生涯、そして交通の利便性に富み、保健・福祉・医療、これが充実している」等の熊本県の姿をあげられ、「県民の幸せを求め続ける。これが私の使命です」と述べられました。こうした目標・課題を達成するためのキーポイントは、知事の「県民中心の県政」「県政は県民からの預かりもの、付加価値をつけて県民にかえす」という基本姿勢にあると考えます。知事のこの姿勢とそれにもとづく過去4年間の実績を信頼し、多くの県民が2期目を付託したものといえます。さまざまな困難、解決すべき難問をかかえる、この時期においてこそ、知事が、みずからの基本姿勢を堅持され、加えて県職員の英知もおおいに結集して、県民本位の歴史の健勝に耐えうる県予算を編成されますよう切望いたします。


U、「元気で明るい熊本づくり」と「県行財政改革基本方針」

 知事は6月定例議会の議案説明のなかで、「予算の編成にあたっては、公約で掲げた施策を実効性あるものとして展開していくため、『あらゆる産業の元気づくり』『くらしの原点、安心安全なまちづくり』『豊かな人間性や実力を伸ばす教育・文化』『支えあい、誰もが出番の福祉社会』『未来に続く県土づくり』『美しい熊本、環境立県』という六つの分野に財源を重点的、効果的に配分します」と述べています。また県来年度予算編成方針においては、「元気で明るい熊本づくり」の推進に向け、重点施策事業を中心として、新規事業又は制度拡充に要する経費に充てるために、一般財源ベースで10億円程度の「事業再構築枠」を創設する。予算編成に係わる各部局の主体性の促進、部局別枠予算の拡大などが示されています。これらは知事の基本姿勢にそった積極的な措置であると考えます。

 同時に、次の点については十分留意していただくよう要望します。
@未来を見据えた「元気で明るい熊本づくり」の中身が、過去の経験をしっかり生かしたものであることが肝要です。たとえば90年代、景気・経済対策として、大型公共事業・ハコモノ建設に偏重し県財政の深刻な危機をつくったこと。川辺川ダム建設のような国の事業に莫大な県費支出を余儀なくされてきたこと。熊本港・八代港に見られるような、右肩上がりの経済を前提に過大な計画をたて、それに県財政を投入し、見直しを繰り返し、遊休造成地の処理に行き詰まっていることなどがあげられます。

A財政の重点的、効果的投入の中身が重要です。「福祉は金を食うだけ」という議論や知事に対して、「福祉ばかりで経済政策がない」などの批判がありますが、これは、福祉と経済を対立させ、福祉・医療分野の施策の雇用・経済波及効果をみない論であり、国会での論戦、政府答弁、研究分野の到達を踏まえない、稚拙なものです。ながく続く不況、政府による社会保障の圧迫・削減のもと、県民の苦難の解決・軽減という面からも、経済政策、「元気づくり」という面からも、福祉分野については、後退を絶対許さず、効果的な施策を具体化されるよう要望します。また公共投資のあり方については、県経済の浮揚、地元の業者の仕事と雇用につながり、お金も地元に落ち、還流するような事業に重点をおくこと。そしてこの点を実際つらぬくためには、公共投資枠の削減のなかでは、大型公共事業の中止・見直しが避けられないことは明らかです。

B県職員の定員削減については、80年代の「臨調行革」に対応した「県行革」以来、他県を尻目に進められてきました。加えて「財政健全化計画」の推進のなかで、給与や退職金の削減などもなされてきました。リゾート開発や景気対策の名のもとでの大型ハコモノ建設など、国に追従した県執行部のいわば失政による県財政破綻のしわ寄せが、県職員にストレートに被せられた面があります。「財政健全化」「財政危機打開」のためとはいえ、県職員の「やる気」をそぐことになりかねません。また県民サービスの低下、県経済への悪影響も否定できません。行財政改革は、県職員の「やる気」の発揚、「県民中心の県政」という点を留意してなされなければなりません。

C「県行財政改革基本方針」では、業務の効率化―重点施策システムの構築―では、「厳しい財政状況の下、効率的・効果的な県政推進を行うため、政策評価等により、県政における重要課題等を明確にしたうえで、重点施策に予算等を重点的に配分」するとしていますが、政策評価においては、かねてから提案しているように環境、景観、財政、代替案などを、評価基準に加え、より厳密になされるよう要望します。最近国営羊角湾跡地利活用事業、樋島海岸整備事業を視察しましたが、改めてそのことの必要性を確認し、羊角湾関係については、先日党県委員会・同天草地区委員会として、文書にて要請を行ったところです。

D市町村合併、県と市町村の関係について
  合併特例法では、都道府県の責務としているのは、市町村に対する必要な助言、情報の提供、市町村の求めに応じた市町村双方の必要な調整などであり、都道府県には控えめな援助者の役割が求められています。また「新法」においては、都道府県が合併推進の構想を定め、対象市町村に、合併協議会の設置の勧告や斡旋・調停ができるとしています。しかしこれはこれまで実際やられたことを法制化したものにすぎません。構想の策定は自治事務レベルのことであり、法的な義務はありません。知事の勧告権については、共同通信の知事へのアンケート調査では、6割にあたる28人が「行使しない」「なるべく行使しない」と答えています。「合併は地域住民が自主的、主体的に判断すべき」(岐阜県知事、東京新聞4月25日付)という声もあがっています。新法の新たな規定について、政府は国会での答弁で、「法制面で強制するとか、そういった権限を都道府県に与えているわけではない」と述べています。こうした点を考慮され、市町村合併に対しては、あくまで自主合併の立場で対処されるよう要望します。また県下には、合併する自治体、合併しないで自立(律)の道をすすむ自治体が並存します。市町村は県とともに地方自治を担うパートナーです。双方の自治体が、健全な発展をはかるために、県としての援助策を双方に施していくことが求められます。

E財政支出のゆがみ、ムダの一掃を
  特別措置法失効後も、多額の補助金が、県部落解放同盟、県同和会に支出されています。これは法的にも、県民の感覚からしても到底認められません。また出資団体等の見直しも、適正にすすめなければなりません。厳しい財政のもと、県自ら財政支出のあり方について、公正、公平、効率、効果等の面から、厳格にただしていくことを求めるものです。


V、県政の重要課題について

(1)川辺川ダム中止のために熟慮・決断を

  川辺川ダム問題は、国の大型公共事業に対する地方自治体の態度のあり方、熊本の主要産業である農・林・水産業の振興か破壊かにかかわる問題、世界最大の公害・水俣病を発生させた熊本県、「環境立県」熊本の環境政策の真価が問われる問題、また長期に続く景気低迷、不況のもとで、公共事業のあり方―いかにお金を地域経済に投下し還流させるかという問題、そして1兆円を超える借金、「三位一体改革」の名による国による地方の財政圧迫のもとでの膨大な財政支出が認められうるのかという問題等々、単に流域、人吉・球磨に限られた問題ではなく、県政最大の重要課題となっています。
この間、さまざまな困難、曲折を経ながらも新利水計画づくりが進展し、大詰めを迎えています。
一方、ダム事業費が、唐突、一方的に2650億円から3300億円に膨れあがることが、国交省から明らかにされました。これにより県の負担は、新たに約150億円(元利合算すれば約170億円)増えることになります。こうしたことは、いずれも1998年(平成10年)の基本計画再変更時の県議会議決に背くものです。
台風16号による川辺川・球磨川増水も、その後の分析・調査で明らかになったことは、市房ダムによる水位低下は約20cmであり、最も接近した地点での水位は堤防天端まで1・6mあったこと、被害が出た地点は、堤防嵩上げなどの改修、排水施設の整備増強などの遅れによるものであること、水害対策上急がれるのは、ダム建設ではなく、堤防嵩上げや川の浚渫、排水施設の整備などであることが明らかになっています。
  こうした状況を踏まえて
@新利水計画づくり、住民討論集会、いずれにおいても、県が総合調整役として、引き続き公平・公正かつ毅然と対応していただくこと。事業費問題を中心とする住民討論集会開催を、国交省に強く働きかけ、実現をはかられること。
A流域住民の生命・財産をより早く守り、財政支出も少なく、地域・県内への経済波及効果も高い、堤防嵩上げ・補強、河床の浚渫、排水設備の整備・増強、森林対策など総合的治水への道を、実践的に踏み出していただくこと。これらは基本的に河川管理者である国交省の計画にもあるものであり、その進捗を求める性格のものです。国交省が、「流域住民の生命・財産」を言うならば垂範・実行しなければならないものであり、強く求めていただくよう要望します。
B情勢、状況を見極めつつ、適切な形で県として「ダム中止」につながる態度表明をされるよう要請します。


(2)水俣病被害者の救済、水俣病問題の全面解決に向けて

  最高裁判決は、国と熊本県の、水俣病の発生、被害拡大の行政責任を認め、損害賠償責任を負うとの断を下しました。最高裁判決をうけて、熊本県が今なにをしなければならないか。全面解決のために何をなすべきか―が問われています。

@県は、最高裁が水俣病患者と認めたことを重く受け止め、全水俣病患者・被害者に対して、明確な言葉で謝罪をすべきです。

A1977年(昭和52年)「判断条件」を見直し、国・県の責任を明確にし、全被害者救済のための特別立法制定を国に働きかけることを要請します。

B水俣病患者、被害地域の総合調査を実施し、水俣病被害の全面的な把握を

C関西訴訟原告患者および2次訴訟原告患者はもとより、広い対象で医療救済を実施すること。

D以上のことを国とともに、誠実敏速に実施するために、国への要請、働きかけを強力にすすめること。また県の独自方針も、@〜Cを踏まえたものにすべきであり、さらに水俣病患者・被害者、関係者の声を十分にくみ上げ、より充実したものにしていくこと。


W、個別要望事項

<総務部>
(1)予算編成にあたっては、
@県民サービスを削減する立場ではなく、県民の暮らし、健康、教育の拡充に留意し、県民の「元気づくり」に最大限つとめること。またさまざまな誘発効果を発揮する事業への配分を留意すること。

A県財政悪化の最大の要因となってきた大型公共事業や大規模開発事業は、思い切って見直し、凍結・中止、縮小などの措置をとること。公共投資のあり方を、福祉施設の建設や学校改修、県営住宅補修等の拡充、森林間伐、防災などの施策の拡充に重点をおき、県内業者、県民の公的就労機会の拡大をはかること。

B県の産業政策の柱を農林水産業、中小企業、地場産業の振興に重点を置き、優先すること。またこれらの振興に重要な役割を果たしている試験・研究機関は充実をはかること。

C納税者の人権を配慮し、強権的な徴税とならないよう十分留意すること。

D「三位一体改革」の名による補助負担金、交付税の削減を許さないために、引き続き全力をあげること。

E私学助成の大幅増額を国に要請すること。県単独の私学経常費補助、授業料補助の拡充をはかること。

F県立大学の独立行政法人化にあたっては、大学の自主性を尊重すること。大学教育の検討に当たっても、教授会や学生の声を生かすこと。学生の大学運営への参加を保障すること。大学の入学金、授業料の値上げはおこなわないこと。

(2)職員人事にあたっては、地方公務員法13条、15条の規定に沿って、公平・公正に行うこと。人事差別については厳しくただすこと。職員の健康保持に万全を期すこと。そのために慢性化した長時間労働を解消すること。女性職員の昇格・昇進をはかり、賃金格差の解消において男女平等を徹底すること。また県の各審議会等への女性委員の積極的登用をさらにはかること。

(3)情報公開については、県警文書の公開を徹底すること。

(4)日の丸・君が代の押し付けをしないこと。 

<地域振興部>
(1)川辺川ダム建設について〜Vの(1)
(2)熊本駅周辺整備事業については、11月12日、知事宛に、党県委員会・同熊本地区委員会、県議、熊本市議団の「提言@」に沿った申し入れを行ったところです。社会経済情勢の変化、国民のニーズの変化、熊本市全体の都市整備構想、県・熊本市の財政等々を踏まえ、科学的総合的な検討による具体化がのぞまれます。また県・市民の声、意見、アイデアなどを重視するよう要望します。

<健康福祉部>
(1)乳幼児、こどもの健やかな成長のために。少子化対策として実効ある対策を。
@乳幼児医療費の小学校入学前までの無料化、窓口払いの改善(現物支給)をはかること。国のペナルティを直ちに中止するよう、働きかけをいっそう強めること。

A安心して子どもが生めるよう妊産婦検診の無料化を。不妊治療助成の拡充を。

B待機児童を解消するため、保育所の増設を進めること。また、保育料の軽減をはかること。無認可保育所への県費助成を増額すること。

C学童保育制度の充実をはかること。子どもの生活の場として、豊かな放課後の時間が過ごせるよう、「子どもの権利条約」の精神を生かし、子どもの立場に立った指導がおこなわれるよう、指導内容や指導員研修の改善・充実をはかること。

(2)介護保険について
介護保険制度の見直しにあたっては以下の点について国に求めるここと。
*要支援者・要介護度1対象者の介護保険給付除外を絶対やらないこと。
*国庫負担を直ちに25%から、全国町村会も要望している30%に引き上げ、利用料・保険料の減免制度を作ること。
*保険料・利用料のあり方を応能負担の方向で見直すこと。
*在宅サービス、施設サービスともに、在宅でも施設でも安心して暮らせる基盤整備をはかること。施設サービスでは、特養ホームを中核に、グループホーム、生活支援ハウス、託老所など多様な施設を地域の中に整備し高齢者が住みなれた地域で生活できるようにすること。
*介護・福祉・医療の連携を強め、高齢者の健康づくりを促進すること。
*介護労働者の労働条件を改善をはかること。

(3)国民の7割が廃止又は改善をもとめる年金改悪法については、廃止し国民的討議を経て、信頼と安心の年金制度を確立するよう、国に求めること。

(4)国民健康保険事業の充実のために
@国保料(税)標準化(応能・応益分の5対5)によって、所得の低い世帯の負担が過重になり支払い困難世帯が増加しており、国に改善を求めること。
A保険料(税)滞納者に対する保険証の未交付、資格証明書、短期保険証、資格抹消をやめるよう指導・援助すること。減免制度を充実すること。

(5)生活保護の充実のために。
@憲法25条の精神に則り、必要とするすべての人が保護を受けられるよう勤めること。国に対して負担率引き下げを行わないよう強く求めること。人権侵害に当たる不当な調査をやめるとともに、生活実態に沿った柔軟な対応をすること。扶養義務の押し付けなどはやめること。

A申請書を窓口に置き、相談の場合も申請書を渡してから話を聞くなど、窓口対応を住民の立場で改善すること。

(6)障害者の日常生活を支援し、社会参加を促進するために
@障害児の医療・福祉・教育に対応できる地域療育センターが、早期に開設できるよう県の援助を強めること。

A精神障害者福祉法による障害者の自立支援のための総合的プランを、県下のすべての自治体で障害者自身や家族関係者の意見を取り入れて協議し策定すること。

B無認可小規模作業所への助成金を増額するよう国に求めること。また県からの補助金を大幅に増額すること。

C重度心身障害者への医療費助成制度の復活を国に求めること。

Dリフト付きタクシーの増設と自治体からの助成をすること。またリフト付き路線バスの通行路線を全県的に拡充し、電車、バスの増発をするよう指導を強化すること。

E現在熊本市だけで実施されている障害者、高齢者、被爆者へのパス券(さくらカード)制度を全県に広げるため、働きかけること。

F障害者が、親なき後にも安心して暮らせる共同ホーム、生活寮、通勤寮の新設と拡充をすること。

(7)被爆者対策
@相談活動の充実や療養施設を建設すること

A国家補償の明記、遺族弔慰金の支給、全被爆者への年金の支給など、被爆者援護法の抜本改正を国に要求すること。

B被爆者のガン検診実施医療機関の充実とすべての医療機関で検診を受けられるようにすること。

(8)女性相談事業については、さらなる拡充をめざすこと。行財政改革による縮減は絶対行わないこと。

<環境生活部>
(1)環境問題について
@「環境立県」の立場にたって、無秩序な開発を規制して、自然環境を守るとともに、大気・水質などの汚染実態を把握し適正措置をとること。また豊かな熊本の地下水を守るため、白川中流域の開発規制、水田涵養対策など万全の策を施すこと。

A「廃棄物処理施設」の建設にあたっては、環境調査と地元住民の合意を基本とした「協定」を結ぶことを明確にすること。

B資源のリサイクル化や分別収集によるゴミの減量化を進めるため、市町村への援助を強化すること。

Cマンション建設にあたっては、公正な環境影響調査の実施、地元への説明責任、周辺住民の合意などを制度化すること。

(2)消費者保護について
@急増する県民からの相談に、的確に迅速に対応できるよう、さらに体制を確立すること。

A県民相談については、関係機関に振り分けるなど単に「処理」するだけでなく、解決できるまで、または相談者が納得できるよう、工夫・努力すること。

(3)交通安全について
@交通死亡事故発生状況の全面的な把握と発生原因の詳細な分析を行ない、交通安全対策に生かすこと。

A歩道の整備や交通安全施設の整備計画を明確にし、整備をはかること。特に交通量が多く、歩・車道の分離ができていない危険箇所は早急に解消すること。

(4)同和事業について
  県部落解放同盟、県同和会への補助金を廃止すること

<商工観光労働部>
(1)中小商工業の振興について
@「中小商工業・地場産業振興条例」を制定し、中小商工業と地場産業が県の経済、社会の中で果たしている役割を明確にし、予算、体制を充実し、積極的な振興策を展開すること。

Aまちづくりの観点から、要綱、条例をつくり、大型店の進出や一方的な撤退を規制すること。

B小売商業活動調整特別措置法を活用し、大企業の展開への規制をはかること。

C県農業試験場跡地に付いては、周辺商店(街)への影響を考慮し中止を含む改善策を探り、事態を打開すること

D自らの創意・工夫などによって、経営・営業改善を前進させる商店街の取り組みを援助・指導し、先進例を発掘し、普及するための県としての取り組み強化を。

E無担保、第3者保障なしの融資制度については、その趣旨を生かし、より借りやすくするために、この間融資がなされなかった業者の状況調査を行い、必要な改善をはかること。

F小売店が近くにない地域では、小売店設置者や行商等に助成措置をおこなうこと。

(2)金融対策について
@貸し渋り対策の「中小企業金融安定化特別保証制度」について、市町村の認定書実務推進、信用保証協会による保証書の即発行、銀行による無条件貸し出しをおこなうこと。

A「オレオレ詐欺」、商工ローンやサラ金、日掛貸金業者の高金利、異常取り立てや過剰融資、貸付取引明細書を交付しないなどの悪質・不法行為を厳しく規制すること。

(3)新たな雇用の拡大のために
@すべての事業所にサービス残業の規制や有給休暇の完全取得を指導し、労働時間短縮による雇用の拡大をはかるために、国の機関と連携し、対策を強めること。

A福祉、医療、教育、防災など県民生活の向上に役立つ分野の公的雇用を拡大すること。新規学卒者の就職支援に全力をあげること。昼間、日曜・祭日にパートなどで働いている青年が利用できるようジョブカフェの開業の改善を。

B障害者の法定雇用率未達成企業に、雇用計画の提出を求めること。

C「小規模作業所」を障害者の働く場として位置づけ、最低賃金を保障するとともに社会保険や労働保険の対象にするよう国に求めること。

D「緊急地域雇用特別交付金事業」については、延長・拡充を国に強く働きかけること。

(4)地方労働委員の選任のあり方を適正に改善すること。

<農政部>
(1)農林水産業を県の基幹産業に位置づけ、県民の食糧と健康、県土と自然保全などで果たしている役割も明確にし、必要な保護策を講じること。

(2)米を守るために
@政府の米「改革」は、いっそうの輸入拡大を前提に、国の安定供給責任を放棄し、米の生産・流通を市場原理にゆだね、「備蓄米」の買い入れ制度を廃止するなど稲作農家に大打撃を与えるもので、中止をし、政府の100%拠出による不足払い制度を創設し、コストに見合う生産者価格をめざすよう政府に働きかけること。

(3)地域の農産物と結びついた食品加工の振興策を

(4)中山間地域の直接支払い制度を改善・拡充し、営農による国土・環境の保全機能を拡充するために、国に働きかけると同時に、県においても可能な具体化をはかること。

(5)輸入農産物から熊本と日本の農業を守るために、価格保障制度の拡充を国に求めると同時に、セーフガードの発動を国に要請すること。

<林務水産部>
(1)漁業振興のために
@水産物の無制限な輸入に歯止めをかけ、国内県内漁業を守ること。

A開発による漁業と資源の破壊に歯止めをかけること。

B水産業の振興に向け栽培漁業の技術開発や試験研究、漁業環境保全などの調査、分析業務の充実をはかること。

C赤潮などの被害を受けた養殖業者の生活資金、稚魚購入資金、経営再建資金の確保のために特別の手だてをとること。融資資金に対する利子補給をおこなうこと。赤潮発生の原因究明・対策を国とともにおこない、発生を抑える対策の充実と、赤潮が発生した際に被害を最小限にとどめるための対応策についてさらに研究を進めること。

(2)佐賀地裁決定を国が受けいれ、水門をあけ、諫早干拓を中止し、有明海の再生に、責任をもって取り組むよう、国に働きかけること。

(3)林務行政の強化のために
@県産木材住宅を増やすために、融資制度の利子補給にとどまらず助成制度の拡充に努めるとともに、県営住宅や学校など公共施設への活用を強く働き掛け、需要拡大を積極的に進めること。 
       
A川や海の浄化につながる森林の役割を重視し、保全に努めること。そのために、間伐や枝打ち、下草刈りなど保育作業を促進し、林道、作業道などの整備をすすめること。

B広域基幹林道の建設にあたっては、希少動植物の保護・育成の観点から、幅員が7メートル以下であっても、環境アセスメントを必ず実施すること。

C木材の輸入規制をおこなうとともに、国内森林資源の保護・育成と積極的活用をはかる補助制度を国に求めること。

D林務労働者の確保と養成を強め、所得保障の拡充とともに社会保険掛け金への助成、就労援助制度など労働環境の改善に努め、後継者の育成をはかること。

<土木部>
(1)公共事業の重点を、福祉・教育・生活密着・防災におき、地元の雇用を促進すること。公共事業費の総枠縮減の状況においては、県民の日常の生活や福祉などの直結する事業、さらには台風、洪水、土石流、地震など災害に強い県土づくりのための防災に力をいれることが緊要になっている。

(2)小規模工事については、小規模事業者登録制度をつくり、零細業者の仕事確保をはかること。

(3)県民の住宅要求と中小零細業者の仕事確保のために、住宅リフォーム助成制度の創設をはかること。

(4)道路計画等においては、ローカルルールも採用し、県民の要求に早期に応え、財政の縮減をはかること

(5)新幹線の騒音・振動被害などについては、実態を調査し、改善のためにつとめること。今後の建設の際の用地買収等においては、説明責任、住民の合意と納得につとめること。

(6)熊本都市圏の交通対策の柱に市電を位置づけ、具体化していくことが、環境問題やエネルギー問題等を考えた場合重要になっている。その際長嶺線への延伸など、住民の側からの必要性、採算性を留意した総合的な路線計画づくりを、住民や研究者も入れて進めること。

(7)河川や海岸の整備の際、河川法、海岸法改正の趣旨に沿って、環境、住民の意見の反映に留意すること。

(8)立替えだけでなく、県営住宅の新規建設を行ない、入居希望者の要望にこたえること。

(9)公共建築物および公共性の高い民間建築物にスロープ、障害者用トイレ、盲人用誘導チャイム、要所に点字表示を設置すること。また建築物の駐車場から入り口までの整備をすすめること。歩道の段差解消をすすめること。

<教育委員会>
(1)教育基本法改正法案を提出しないよう国に要請すること。

(2)義務教育費の国庫負担については、あくまで国に求めること。

(3)少人数学級の拡充、当面小学校3年生までの拡大をはかること。

(4)公立小・中学校、高校の耐震診断、耐震化を抜本的に強化すること。

(5)体罰を完全になくすよう徹底すること。

(6)「管理主義教育」をやめ、教職員と生徒の自主性を尊重した学校づくりをすすめること。

(7)定時制高校は、働きながら学ぶ生徒はもちろん、不登校の生徒などさまざまな状況に置かれている生徒の学ぶ場を保障し、人間関係を築く場となっている。拡充をめざしつつ、維持存続に充分な力を尽くすこと。

(8)不登校などで悩む家族が自主的に組織した「会」との連携を強め、運営の助成や専門家による助言など支援を強化すること。

(9)冷暖房施設の整備や障害者用のエレベーターなどを整備すること。

(10)すべての学校に養護教諭を複数配置すること。

(11)学校図書館の充実のため、専任の図書館司書を配置すること。

(12)職場環境と教職員の労働条件を改善すること。

(13)学校給食を教育の一環として更に充実するために、すべての小・中・養護学校に完全給食を実施し、栄養職員を配置すること。学校給食の民間委託やセンター方式を改め、自校方式で行なうこと。

(14)同和教育はなくし、県部落解放同盟・県同和会への補助金は廃止すること。

(15)内心の自由、思想信条の自由を奪う「日の丸」「君が代」の押し付けは絶対に行なわないこと。

<警察>
(1)交通事故・交通公害から県民の命と健康を守るために、死亡事故など重大事故、出会い頭の衝突 事故等事故多発箇所に、再発防止のための道路標示、信号機などの設置を講じること。住民の要望にこたえ、信号機(音響を含む)、カーブミラー、道路標識、横断歩道、照明機など設置計画を作り、予算を増額し、計画的に整備をおこなうこと。車優先から歩行者優先のまちづくりに改めるため道路構造、道路計画の見直しを行なうこと。

(2)暴走族等の暴走行為は近隣住民に騒音被害など深刻な問題となっている。抜本的な対策を講じること。

(3)交番署に警察官が常駐するよう、適切な人員を配置すること。

(4)商工ローンやサラ金等の違法な営業行為による被害から市民生活を守るため、取り締まりを強化すること。

(5)「子どもの権利条約」の内容を、すべての警察官に徹底するとともに、研修科目に加えること。

(6)警察法第2条2項は、警察活動について「不偏不党」「公正中立」をうたい、「個人の権利および自由への干渉」を厳しく戒めていることを徹底し、遵守すること。

(7)憲法で保障された市民の政治活動や民主運動、労働運動に対する干渉や介入をやめること。

(8)情報公開と内部監査の強化をはかり、「裏金」疑惑問題にみられるような体質を根本的に改革すること。



日本共産党熊本県議会議員 松岡徹
〒862-8570  熊本県熊本市水前寺6-18-1議会棟内
TEL FAX  096-385-8770 MAIL :matsujcp@khaki.plala.or.jp