諫早干拓問題 4県共同で農水省に抗議・要請行動

 長崎県・諫早湾干拓事業をめぐり、佐賀地裁の工事差し止め決定、異議申し立て却下に対して、国が福岡高裁に抗告したことをうけ、有明海沿岸の日本共産党の熊本、福岡、佐賀、長崎の四県委員会は1月27日、農水省を訪れ、抗告に厳しく抗議するとともに、「抗告を撤回すること」「司法判断をしんしに受け止め、水門をあけ干拓を中止すること」を求めました。

 熊本県からは松岡徹県議が参加。日本共産党の赤嶺政賢衆院議員、仁比聡平参院議員も同席しました。

 自殺者も相次ぎ、漁業被害と諫早干拓の因果関係を認める判断を裁判所が下し、4県の県議会が中長期開門調査を議決しても、頑として「干拓続行」「水門は開けない」との態度を変えない農水省の態度を許すことはできません。


     
   
赤嶺政賢衆院議員、仁比聡平参院議員らとともに抗議・要請


以下申し入れ文書です。

2005年1月27日
農林水産大臣 島村 宜伸 殿

                日本共産党福岡県委員長 安広 和雄
                 同    佐賀県委員長 平林 正勝
                 同    長崎県委員長 山下 満昭
                 同    熊本県委員長 久保山啓介

福岡高裁への抗告を取り下げ、諫早湾干拓事業の中止、水門開放を決断するよう求める申し入れ 

 本年1月12日、佐賀地裁は、昨年8月26日に諫早湾干拓工事差し止めを命じた同地裁の仮処分決定に対する国の異議申し立てを退ける保全異議決定を行った。 

 この度の地裁の決定は、潮受堤防の工事はすでに終わっているのだから残った工事を差し止めてもしかたがないという不当な国の主張に対して、それは「あまりにも硬直した解釈」だと厳しく批判し、その上で、「漁業被害を将来的に防ぐためには、工事の差し止めが、現時点でとりうる唯一の最終的手段」だとして、差し止めの正当性を強調した。 

 また、「潮受堤防が存在するかぎり、漁業被害が続く可能性は否定できない。生計に重大な影響がおよぶ」と将来の漁業被害を防ぐ必要を強調。国が主張する「工事を中止すれば巨額の損失を生じる」という言い分に対しては、漁業被害は有明海沿岸の漁業者に広く及んでいる可能性があるのだから、「事業中止により生じる損失額が漁業被害を上回ると軽々に断定することは相当でない」と断じた。 

 このように、今回の保全異議決定は、仮処分決定の正当性、その合理性をより明快に強調したものとなっている。しかるに国はこの決定を不服とし、新しい言い分も、新しい証拠も示さず、1月26日、福岡高裁に対し保全抗告を行った。我々は、2度にわたる明確な司法判断を一顧だにせず、ひたすら事業推進の立場からかたくなな態度に固執し続ける国に対して、厳しく抗議するとともに、抗告を取り下げ、干拓事業そのものの中止、水門開放に踏み切るよう強く求めるものである。 

 同時に、昨年5月に示した「中・長期開門調査を実施せず、これに代わる方策を進めるという判断」の撤回を求めるとともに、新たな大型公共事業のバラマキにつながる「有明海の再生に向けた新たな取り組みに」ついて、真剣な再検討を促すものである。 

 よって、以下の通り申し入れる。 

               記

1、福岡高裁への抗告を取り下げ、2度にわたる司法判断を真摯に受けとめて、干拓事業の中止、水門開放を決断すること。 

2、「新たな取り組み」は一時的な効果しか期待できない作澪や覆砂事業、効果の説明も明らかにできない「実証試験」が中心である。被害が生じないような方法での調整池への海水の導入をただちに検討し、真に有明海再生に役立つ取り組みに転換すること。 

3、干拓事業背後地の自治体と住民には、干拓事業だけでは防災効果を発揮できないことを誠実に説明し、干拓に頼らない防災事業にただちに着手すること。 

以上



日本共産党熊本県議会議員 松岡徹
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