政策や提案

2007年 2月22日

大型店出店問題についての申入れ

熊本県知事潮谷義子様
                   2007年2月22日
                     日本共産党熊本県委員会
                     委員長   久保山啓介
 
 大型店をめぐる新たな事態に対して、高齢者も障害者も住めるまちづくり、地域の商店(街)、地域 経済を守る立場で、実効ある対処を

1、熊本市をはじめとする地域商店(街)、地域経済、高齢者や障害者も買い物ができるまちづくりに重大な被害と障害をもたらすことが危惧された、イオン佐土原ショッピングセンターが、事実上中止になったことについては、画期的なことであり、県の労について敬意を表します。
 「1難さってまた1難」とのことわざもありますが、ニコニコドー南熊本店の撤退、サンリブ水前寺店の撤退、長嶺西地区への大型ショッピングセンターの出店といった事態が続いており、県としての新たな、実効性ある対応、政策展開が求められています。
 「大店法」が廃止され、かわりに制定された「大店立地法」をはじめとする「まちづくり3法」は、大型店の無秩序、かつ弱肉強食的展開に、有効な規制をなし得るものではありませんでした。熊本県の「大型店の立地に関するガイドライン」は、そうした枠内での施策であり、大型店の規制という点では、致命的な弱点、限界を持つものであり、日本共産党熊本県委員会としては、より実効性のある内容と条例化等を求めてきたところです。
 同時に「ガイドライン」は、大型店の、企業としての社会的責任、地域貢献策、地域との協議等を「主旨」として掲げ、14項目にわたる「大型店に求める具体的な地域貢献策」(「地域貢献策」)を示しています。
 
2、以下の点について、検討・具体化を早急にはかるよう要望します。
@「地域貢献策」の12−は、店舗撤退、閉鎖時における、1−早期の情報提供、2−後継店の確保、3−従業員の雇用の確保、4−取引先企業に対する対応、5−店舗閉鎖に伴う環境悪化の防止をあげ、
 「一定規模未満の大型店」についても、「ガイドラインの主旨を踏まえ…地域貢献に積極的に取り組む」よう求めています。
 ニコニコドー南熊本店撤退においては、地域住民への情報提供、説明は極めて不十分なものであり、「サンリブ水前寺店」においては、地元説明会等はなされず、店内張り紙、マスコミへの情報提供に終わっている始末です。
*「一定規模未満の大型店」に対して、「ガイドライン」の主旨と具体的内容が不徹底ではないかと考えられますが、いかがでしょうか。
*両店舗とも閉鎖・撤退の段階にありますが、現時点で「ガイドライン」にそって、どのような対応を考えていますか。
 なお「ニコニコドー南熊本店」に関しては、閉店後の対応について、説明会、住民の要望を聴く機会の設定、閉店後の継続店舗の確保、新店舗開設までの間、駐車場での仮店舗の営業、新規店舗等に関する事前の地域説明会の開催などの要望が住民から出されています。

A熊本市長嶺西の熊本経済連総合流通センター跡地に出店予定の複合商業施設(主として店舗)については、都市計画法改正において、地方都市(3大都市圏、政令市)での中心市街地活性化計画の
 認定・支援との関連で大型店の立地規制がなされる「準工業地域」です。「施設(大型店舗)」は、1万uを僅かに下回る面積で計画がされており、形式的には法をクリアーしていますが、実際的な影響 という点では。それで「よし」とされるものではありません。
*近隣には、多数の中規模の店舗と商店(街)があり、仮に1万u規模の「大型店」が出店すれば、重大な打撃を与えることになります。そのことは、地域の消費者にとって、身近な買い物の場を失うことにもなってしまいます。
*周囲の道路は、県道、市道ともに狭隘であり、現状でも交通渋滞地域であり、今後の拡幅も見通しはなく、新たに700台近くの駐車スペースを持つ大型店の展開は、渋滞を一層深刻なものにし、地域住民の利便と環境の悪化をさらにひどくすることが懸念されます。
*「光の森」に大型店出店後、青少年の補導件数が急増した、との研究者の調査報告もだされています。
 同地域は、住宅地の真ん中にあり、児童・生徒、青少年の教育、生活環境悪化をきたすものです。
*「光害」問題もあります。
 ―等々の心配、懸念が寄せられています。
県、熊本市において、影響調査を実施し、その結果を住民に示すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

2、「ガイドライン」の改正・充実について
@「地域貢献策」の取り組みを求めるだけでは、「大型店」側の対応・実行についての確認ができないケースが生まれることが明かになったいま、そうした状況を解決するための措置が必要です。
A他県の「ガイドライン」においては、「一定規模以上の大型店舗」の床面積を、1万u以下の基準にするなどの対応がとられています。都市計画法等の改正を受けて、市街地での1万u以下の「大型店の展開」が従来よりいっそう激化してきている実態に対して、実効性のある見直しが必要になっています。

3、地域の商店(街)、地域経済を守り、高齢者も障害者も安心して買い物ができ、住み続けられるまちづくりとう点では、今回の「まちづくり3法」の改正は不十分であり、国に更なる見直しを求めるべきです。

 総務省の全国消費実態調査で、熊本県の「ジニ係数」が、前回(1999年)の9位から4位に順位をあげ、沖縄をのぞく九州でトップ、全国4位になったことについて、その要因に、大型店の展開による個人商店の疲弊、県内経済の地盤沈下をあげる識者もいます。「熊本の元気づくり」の重要課題として、大型店対策の取り組みが早急に求められています。


日本共産党熊本県議会議員 松岡徹
〒862-8570  熊本県熊本市水前寺6-18-1議会棟内
TEL FAX  096-385-8770 MAIL :matsujcp@khaki.plala.or.jp