政策や提案

2005年 11月29日

県政運営および2006年度熊本県予算編成についての要望


熊本県知事潮谷義子様
                  2005年11月29日
                   日本共産党熊本県委員会
                   委員長  久保山啓介

県政運営および2006年度熊本県予算編成についての要望

 知事のご奮闘、リーダーシップに敬意を表します。2期目の半ばにさしかかる知事の県政運営、06年度県予算編成について、要望・提案を文書にていたします。ご検討・ご配慮のほどよろしくお願いいたします。

(1)県政運営の基本姿勢と県政の重要課題について

@「県民中心」の県政運営を
「三位一体改革」の名のもとでの地方への財政縮減、「回復基調」とはほど遠い中小企業と地方経済、外国産輸入等による県内農林水産業の衰退等々、「元気で明るい熊本づくり」を前進させるためには、乗り越えるべきいくつもの峰があるといわざるをえません。
 こうした状況だからこそ、潮谷知事の県政に臨む基本姿勢を多くの県民が支持し、有権者比で、得票率、得票数とも前回を上回る49万余の得票を得てスタートした、2期目の潮谷県政の原点、すなわち「県民中心の県政」という基本姿勢を確固として貫くことが肝要だと考えます。
 国の政治が、地方や弱者に厳しい措置を次々と強行してくるなかにあっては、なによりも地方自治法第1条の「住民の福祉の増進を図ることを基本」にした県政運営が求められています。また「地域における行政を自主的かつ総合的に推進する」ために、国に対して、地方の立場から毅然と主張と提案を行うことが求められています。
 戦後長く続いた県政のように、政府の政策誘導に乗り、その時々の自民党型の政治を鸚鵡返しに県政レベルで進め、90年代においては、「景気対策」として大型公共事業を集中的にすすめ、取り返しのつかないほどの莫大な借金を県にもたらしたような過ちを肝に命ずるべきです。
 「熊本の元気づくり」へ、熊本県としての創意とエネルギーに満ちた、地方からのチャレンジを県民は期待しています。

A川辺川ダム問題の解決
 11月22日に要望・提言(別紙)

B水俣病問題
 昨年10月の関西訴訟最高裁判決後、認定申請者が3千数百人になました。4月7日発表の国の対策には、多くの認定申請者が納得せず大量提訴という事態に発展してきています。新保険手帳申請受付に見られる特徴は、認定申請者の多くが新保険手帳を受け入れていないこと、新保険手帳には、認定申請者以外の少なくない人が申請してきていることです。
 これら全体を通じて求められているのは、国・県・チッソが、水俣病患者・被害者をその症状に応じて救済する仕組みを早急につくること、県が昨年11月提案した健康調査、環境調査を実施することです。これらについて国・環境省に強く働きかけていただくよう要請します。

C有明海・八代海再生
 有明海・八代悔の再生は、県経済に数千億円のプラス効果をもたらすものです。諫早干拓と漁業被害の原因裁定を棄却した福岡高裁、公調委においてさえ、原因究明のための中・長期開門調査、原因の解明についての国が責任を果たすことを求めています。 
 有明海・八代海の干潟の保全・回復のための山から川、海への砂の供給が重要であり、そのためにはダム撤去、改修、新たなダム建設の中止が求められています。これらについての、検討・具体化を要請します。

D大型店対策
 熊本の商業・商店街、地域経済、高齢者・障害者が安心して買い物ができるまちづくり等々の点で、大型店の出店・撤退問題は、県政として深く検討すべき課題です。ガイドラインに勧告、住民参加の規定を加えること、さらに条例制定に前進すること、国にまちづくり3法の見直しを強く働きかけること等に力を入れていただきくよう要請します。

E政令市、市町村合併問題
 きちんとした議論・検証抜きで「それいけ」的な議論、「政令市バラ色」論にはくみすべきではありません。そもそも政令市制度は、都市化によって人口が集中し、大都市特有の諸課題に対応するために設けられた制度であり、それ自体は一定の合理性を持ったものです。ところが現在の熊本市の政令市についての論議は、人口要件緩和措置がある時にかけこみで、合併をやって、政令市にーというもので本来のスジから逸脱したものとなっています。
 政令市は「バラ色」では必ずしもありません。国道・県道の維持管理、児童相談所設置などの事務移管はなされますが、それに見合う財源は十分保障されているとはいえません。公債比率が、全国都市平均14・3%に対して、政令市は19・5%と高く、少なくないところで20%を超える高い公債比率になっています。
 また道州制と絡めて熊本市の政令都市問題が議論されています。道州制導入のルーツは、1989年の経団連提言「国と地方の関係等の見直しに関するメモ」ですが、経団連(財界)の経済活動にとって、今の都道府県の圏域は狭すぎて障害だから変えようというものです。そこにあるのは地方自治ではなく、財界のために地方づくりです。道州制の検討は、第28次地方制度調査会でなされています。そのなかでは、道州制下の基礎自治体は10万人程度の市以上とし、それ以下は自治体扱いしないという、市町村の強制的大再編が議論されています(地制調第24回専門小委員会)。道州制導入と連動しての政令市議論は、現憲法の重要な柱である地方自治制度に意味を忘れたものであり、県として、安易に追随すべきものではありません。政令市問題での県としての対応は、道理にたった冷静な対応を求めます。
 市町村合併の今後を考えるうえでは、山を越えたとも言える「平成の大合併」の全体像をふりかえってみることが必要です。
 当初は、「地方分権」「合併のメリット」論で、「合併バラ色」論的な推進が政府主導で進められました。しかし実際はそう甘いものではなく、難航しました。そこで、「国も地方も財政が大変だ。財政が合併しなくてやっていけるのか」式の「財政危機」をてこにした合併推進論が、政府の地方への財政締め付けと連動して大勢となりました。総務省幹部が、「市町村合併は行政改革の最たるもの」と発言したように、合併によって、国から地方への支出を数兆円減らすという本来の政府の企図がもろに出た形になったといえます。「自主合併」を謳いながらも、県内でもこうした傾向が色濃くあったことを指摘せざるをえません。
 今後、県内での合併を検討する際、あくまでも自主合併、住民自治の原則に立って、住民の意思で合併の可否を決定するということを、県として貫いていただくよう要請します。また自立の道を選択した自治体に対する援助を図っていくことを求めます。


(2)06年度県予算編成の留意点

@「行財政改革」「選択と集中」の基準をどこにおくのか
 地方自治体の本来果たすべき役割、県民、県経済の状況からして、福祉、医療、中小企業、農林水産業、観光などに軸をおいた予算編成を求めます。そのための「元気づくり予算」「県民の暮らし応援の予算」枠を大幅に拡充することを要請します。
 「3単県医療」を始めとする福祉施策は、後退ではなく拡充の方向で、思い切った予算枠を設けること。そうした財源確保のためにも、不要・不急な公共事業の抜本的な見直し、同和関係補助金・費用の削減などを図ることが必要です。
 公共事業は、地方債などの割合が高く一般財源充当率は低いので収支悪化の要因としては少ないとか、収支改善策としては効果は低い、との見方もありますが、地方債は後年度の一般財源充当を余儀なくし、将来的に一般財源によって償還しなければなりません。特定目的基金の繰入額についても過去の一般財源を繰り入れたものです。
 90年代の大型公共事業偏重が県財政をいかに圧迫してきたか、現在重しにいかになっているかを見れば明らかです。
 川辺川ダム中止をはじめ大型公共事業について、聖域を設けず、事前評価、再評価を厳格に行い、思い切った見直しをすすめていくことを求めます。国の事業についても、県としての評価・判断を明らかにしていく必要があります。
 公共事業では、防災、福祉、教育、地域密着型の地域再投資力の高いものに思い切ってシフトすることを提案します。
 部落解放同盟・同和会への補助金の支給等については、松岡徹県議が、県議会の一般質問等で繰り返しとりあげてきました。特にさる9月議会では、上益城管内(益城町)での集会所勉強会の実態を取り上げました。同町における、教師に対する人権と尊厳を冒涜する暴言・攻撃の事実はさらに明らかになっています。そしてこの一連の1教師への圧力・攻撃に、県関係者も組みしていたこと、勉強会の視察に、県の最高幹部の1人が出向いていったことなどが証言されています。(これらはしかるべき機会に、しかるべき方法でただされるべきものですが)部落解放同盟・同和会への県の屈服・追従姿勢を厳しく指摘し、勇気を持って、改めることを強く求めるものです。
 「新地方行革指針」(「地方公共団体における行政改革の推進のための新たな指針」)は、民間委託、指定管理者制度、PFI手法、独立行政法人などの活用、定員管理・給与の適正化などをきめ細かく指示し、国としてその推進をチェックしようとするものです。これに対しては、県民の暮らし、県民へのサービスの低下をきたさないよう、ていねいな対応を求めます。

A財政、予算の公開と説明責任
 2期目の潮谷県政スタート後、知事が各地に出かけられ「熊本元気づくりトーク」が開かれました。このことは広く県民に評価されています。来年度予算編成と平行して、「県の財政状況は」「財政が厳しくなった原因は」「新幹線ではどれだけ費用がかかるのか」「川辺川ダムではどれだけか」「どうしたら県民の要求を実現できるのか」「カネかけずに県ができることでやってほしいことは」などについて、「元気づくりトーク」の参加枠参加者数、開催ヶ所を広げ、率直に県民に語り、県民から聞く機会をつくることを提案します。

Bゼロ予算事業
1−風俗営業規制・適正化条例の改正
 熊本市武蔵丘のニコニコドー跡にパチンコ店が出店する問題で、「住宅地にパチンコ店は困る」と大きな反対運動となりました。そのなかで問題となった点として、保育園と隣り合わせにできても規制できないことでした。全国の例では、制限地域の規定に
 「保育園」「児童福祉施設」を入れているところがあります。武蔵丘のようなケースは今後も想定されることから、条例改正を急ぐことが求められています。

2−県発注事業(1億円以上)の平均落札率が98%超となっています。ダンピングや下請け、労働者へのしわ寄せ防止策をセットにして、条件付一般競争入札を1億円以上までとするなど、入札制度のさらなる改革が必要です。
 

(3)緊急・重要要求として

@耐震偽造問題
 マンション等の構造計算書(耐震強度)偽造問題で、制度として問題にすべきことは、1998年の建築基準法「改正」で、建築確認を民間任せにしたことです。日本共産党は、「行政の建築主事の体制は強化せず、行政のチェックもないままに検査を民間任せにするもので検査の公正が確保できない」と指摘し、法案に反対しました(自民・民主・公明・社民・さきがけなどが賛成)。耐震偽造問題は、この法「改正」の問題点が顕在化したものといえます。県民のなかにもさまざまな不安が広がっており、機敏な対応が求められています。
1ー実態の全面的な把握を国に求めること。県としても把握に全力をあげること。
2ー民間検査体制の見直しと再発防止策、検査体制全体のみなしを国に求めること。
3−木村建設破産に伴う、雇用、連鎖倒産など被害の連鎖・拡大防止に努めること
4−国に建築基準法の見直しを求めること。
5−阪神大震災以前の高層建築物の耐震調査について、国にも要請し、実施をすすめていくこと。
 
Aアスベスト対策
  県としても実態把握、相談窓口設置、諸対策等にすでに取り組んでいますが、以下要請します。
1−個人、建設業従事者、関係する住民に対するアスベスト特別検診の実施。希望する人については、CTスキャン等の2次検診も特別検診の対象にすること。健康保険組合や中小企業への検診負担支援を。
2−専門医療機関と連携した検診・診察体制の充実強化をはかること。
3−公共施設の調査をさらに徹底し、防除策を速やかにとること。
4−解体工事等における飛散防止措置、周辺住民への周知。届出指導、立ち入り検査体制の充実
5−飛散防止、撤去、改修工事等への資金援助(無利子・無担保・無保証融資)
6−県としての体制確立・強化(機器購入、人員配置など)

(4)個別要望事項

<総務部>

@イラクへの自衛隊派兵期限の延長をやめて、即時撤退するよう国に求めること。
A武力攻撃事態法、国民保護法の廃止を国に求めること。基本的人権、報道の自由、自治体労働者の権利を侵す「国民保護計画」づくりは中止すること。
B私学助成の大幅増額を国に要請すること。私学経常費補助、授業料補助の拡充をはかること。
C県立大学の独立行政法人化にあたっては、大学の自主性、学問研究の自由を尊重すること。大学教育の検討に当たっても、教授会や学生の声を生かすこと。学生の大学運営への参加を保障すること。大学の入学金、授業料の値上げはおこなわないこと。
D市町村合併―(1)のE
E職員人事にあたっては、地方公務員法13条、15条の規定に沿って、公平・公正に行うこと。人事差別については厳しくただすこと。職員の健康保持に万全を期すこと。そのために慢性化した長時間労働を解消すること。女性職員の昇格・昇進をはかり、賃金格差の解消において男女平等を徹底すること。また県の各審議会等への女性委員の積極的登用をさらにはかること。
F情報公開については、県警文書の公開を徹底すること。
G日の丸・君が代の押し付けをしないこと。 


<地域振興部>

@川辺川ダム建設について〜別紙
A熊本駅周辺整備事業については、04年11月12日、05年2月2日、党県委員会・同熊本地区委員会、県議、熊本市議団の提言@およびAに沿って引き続き検討を。特に、A地区での熊本市の図書館建設については、地域の整合性、熊本市の財政、合意の形成等さまざまな問題があり、見直しについて県としても調整役を果たすこと。
B熊本都市圏交通について、渋滞、環境、交通弱者、コンパクトシティ等、総合的な視点から、アクションプログラムの見直しを進め、バス、市電、JR、自転車、歩行の組み合わせ等により、自動車中心の交通からの脱却、環境と人にやさしい交通体系づくりをはかること。


<健康福祉部>

@少子化対策。安心して子供を育てられる熊本
1−乳幼児医療費の小学校入学前までの無料化、窓口払いの改善(現物支給)をはかること。国のペナルティを直ちに中止するよう、働きかけをいっそう強めること。
2−安心して子どもが生めるよう妊産婦検診の無料化を。不妊治療助成の拡充を。
3−待機児童を解消するため、保育所の増設を進めること。また、保育料の軽減をはかること。無認可保育所への県費助成を増額すること。
4−学童保育の充実をはかること。
A介護保険、高齢者
1−介護保険法「改正」に伴う負担増などについて実態調査を行うこと低所得者対策(補足給付)対象についての把握、ホテルコストの徴収額、施設・事業所の減収とサービス低下など
2−地方自治体が行う利用者負担の減免措置に対して、ペナルテイィを課さないよう国に
 求めること。
3−本人の希望によらない場合の個室使用については、多床扱いとし、特別な負担を求めないようにすること。特別疾患(難病)患者については、居住費・食費とも従来どうりの公費負担となるよう求めること。生活保護の場合、「個室の利用を認めない」とする「事務連絡」の撤回を求めること。
4−国庫負担の増額を国に求めること。
5−施設、在宅での基盤整備をすすめ特別養護老人ホーム等の入所待機者解消を。宅老所など地域密着・小規模多機能ホーム等の拡充を
6−介護労働者の労働条件の改善をはかること。
B障害者
1−障害者自立支援法の成立により、障害者への負担増と障害者福祉施設の運営への不安が広がっています。県として、障害者支援策を一層強化すること。
2−障害児の医療・福祉・教育に対応できる地域療育センターが、早期に開設できるよう県の援助を強めること。
3−重度心身障害者への医療費助成制度の復活を国に求めること。
4−障害者が、親なき後にも安心して暮らせる共同ホーム、生活寮、通勤寮の新設と拡充をすること。
5−小規模作業所・授産施設への補助金の増額
C国民健康保険事業の充実のために
1−国保料(税)標準化(応能・応益分の5対5)によって、所得の低い世帯の負担が過重になり支払い困難世帯が増加しており、国に改善を求めること。
2−保険料(税)滞納者に対する保険証の未交付、資格証明書、短期保険証、資格抹消をやめるよう指導・援助すること。減免制度を充実すること。
D生活保護。
1−生活保護費の国庫負担引き下げに強く反対し、その意思で発言し行動すること。
2−人権侵害に当たる不当な調査をやめるとともに、生活実態に沿った柔軟な対応をすること。扶養義務の押し付けなどはやめること。
3−申請書を窓口に置き、相談の場合も申請書を渡してから話を聞くなど、窓口対応を住民の立場で改善すること。
4−生活必需品になっている自動車の保有について、基準を緩和すること。


<環境生活部>

@環境対策
1−「環境立県」をスローガンだけではなく、そのための総合的抜本的な計画つくりと実行を。
2−地球温暖化防止のための実行プラン、条例化を。
3−風力、太陽光、バイオマスなど自然エネルギーの開発・活用の促進を
4−産業廃棄物の不法投棄の監視を強化する。
5−「廃棄物処理施設」の建設にあたっては、環境調査と地元住民の合意を前提とすること。
6−資源のリサイクル化や分別収集によるゴミの減量化を進めるため、市町村への啓発・援助を強化すること。
7−製造段階から塩化ビニールなどダイオキシン発生の原因となる物資の生産を減らし、再利用をはかる指導を強めるなど、ダイオキシン対策を引き続き強化すること。
8−ゴミの発生の削減を根元から進めるうえで、拡大生産者責任を明確にしていない家電リサイクル法、容器包装リサイクル法、建設リサイクル法などの改正を国に求めること。
9−マンション等の建設にあたっては、地元への説明責任、周辺住民の合意などを制度化すること。
A消費者保護
1−急増する県民からの相談に、的確に迅速に対応できるよう、さらに体制を確立すること。県民相談については、解決できるまで、または相談者が納得できるよう、工夫・努力する
2−違法な年金担保融資をはじめ、違法・悪質な行為に対しては、厳正に対処すること。

B交通安全
1−交通死亡事故発生状況の全面的な把握と発生原因の詳細な分析を行ない、交通安全対策に生かすこと。
2−歩道の整備や交通安全施設の整備計画を明確にし、整備をはかること。特に交通量が多く、歩・車道の分離ができていない危険箇所は早急に解消すること。
C同和事業についてー(2)の@
  

<商工観光労働部>
@中小商工業の振興について
1−「中小商工業・地場産業振興条例」を制定し、中小商工業と地場産業が県の経済、社会の中で果たしている役割を明確にし、予算、体制を充実し、積極的な振興策を展開すること。
2−大型店対策―(1)のD
 県農業試験場跡地に付いては、周辺商店(街)への影響を考慮し中止を含む改善策を探り、事態を打開すること
3−自らの創意・工夫などによって、経営・営業改善を前進させる商店街の取り組みを援助・指導し、先進例を発掘し、普及するための県としての取り組みをさらに強化を。
4−無担保、第3者保障なしの融資制度については、その趣旨を生かし、より借りやすくするために、この間融資がなされなかった業者の状況調査を行い、必要な改善をはかること。
5−小売店が近くにない地域では、小売店設置者や行商等に助成措置をおこなうこと。
6−貸し渋り対策の「中小企業金融安定化特別保証制度」について、市町村の認定書実務推進、信用保証協会による保証書の即発行、銀行による無条件貸し出しをおこなうこと。
A新たな雇用の拡大のために
1−すべての事業所にサービス残業の規制や有給休暇の完全取得を指導し、労働時間短縮による雇用の拡大をはかるために、国の機関と連携し、対策を強めること。
2−福祉、医療、教育、防災など県民生活の向上に役立つ分野の公的雇用を拡大すること。新規学卒者の就職支援に全力をあげること。ジョブカフェについては、青年雇用面で一層の役割発揮ができるよう支援措置を強化すること。広報・宣伝も強め、日曜・祭日にパートなどで働いている青年が利用できるよう開業時間の改善を。八代・本渡・荒尾・玉名などでの出張説明・研修会などの開催を。
3−障害者の法定雇用率未達成企業に、雇用計画の提出を求めること。
4−「小規模作業所」を障害者の働く場として位置づけ、最低賃金を保障するとともに社会保険や労働保険の対象にするよう国に求めること。
B労働委員の選任のあり方を適正に改善すること。


<農政部>

@農林水産業を県の基幹産業に位置づけ、県民の食糧と健康、県土と自然保全などで果たしている役割も明確にし、必要な保護策を講じること。
A経営所得安定対策等大綱について
 食糧自給率を向上させるためには、日本農業の担い手を増やすことが焦眉のかぎとなっています。そのためには、多様な形態の家族経営を対象にした価格保障、経営安定対策が求められています。10月26日閣議決定された「大綱」は、価格保障を廃止し大規模農家だけに交付金を与えるもので、農業の担い手を減らし日本農業の危機、食糧自給率の低下をさらにすすめるもので、撤回を求めるべきです。
B政府の米「改革」は、いっそうの輸入拡大を前提に、国の安定供給責任を放棄し、米の生産・流通を市場原理にゆだね、「備蓄米」の買い入れ制度を廃止するなど稲作農家に大打撃を与えるもので、中止をし、政府の100%拠出による不足払い制度を創設し、コストに見合う生産者価格をめざすよう政府に働きかけること。
C地域の農産物と結びついた食品加工の振興策を
D中山間地域の直接支払い制度を改善・拡充し、営農による国土・環境の保全機能を拡充
 するために、国に働きかけると同時に、県においても可能な具体化をはかること。


<林務水産部>

@漁業振興のために
1−水産物の無制限な輸入に歯止めをかけ、国内県内漁業を守ること。
2−開発による漁業と資源の破壊に歯止めをかけること。
3−水産業の振興に向け栽培漁業の技術開発や試験研究、漁業環境保全などの調査、分析業務の充実をはかること。
4−赤潮などの被害を受けた養殖業者の生活資金、稚魚購入資金、経営再建資金の確保のために特別の手だてをとること。融資資金に対する利子補給をおこなうこと。赤潮発生の原因究明・対策を国とともにおこない、発生を抑える対策の充実と、赤潮が発生した
 際に被害を最小限にとどめるための対応策についてさらに研究を進めること。
A諫早干拓についてー(1)のC
B林務行政の強化のために
1−経済、環境、治山・治水等多面的かつ戦略的な位置付けで、森林保全、林業振興につとめること。
2−県産木材住宅を増やすために、融資制度の利子補給にとどまらず助成制度の拡充に努めるとともに、県営住宅や学校など公共施設への活用を強く働き掛け、需要拡大を積極的に進めること。
3−木製ガードレールの開発とさらなる普及活用など、県産材の利活用策を拡充すること。 
4−間伐や枝打ち、下草刈りなど保育作業を促進すること。
5−広域基幹林道の建設にあたっては、希少動植物の保護・育成の観点から、幅員が7メートル以下であっても、環境アセスメントを必ず実施すること。
6−木材の輸入規制をおこなうとともに、国内森林資源の保護・育成と積極的活用をはかる補助制度を国に求めること。
7−林務労働者の確保と養成を強め、所得保障の拡充とともに社会保険掛け金への助成、就労援助制度など労働環境の改善に努め、後継者の育成をはかること。


<土木部>

@公共事業の重点を、福祉・教育・生活密着・防災におき、地元の雇用を促進すること。
 公共事業費の総枠縮減の状況においては、県民の日常の生活や福祉などの直結する事業、さらには台風、洪水、土石流、地震など災害に強い県土づくりのための防災に力をいれることが緊要になっている。
A公共事業の発注では、入札・契約の透明性を確保し、談合などの不正行為の排除、元請け・下請け関係の適正化につとめること。建退協制度の徹底をはかること。
B県民の住宅要求と中小零細業者の仕事確保のために、耐震化等と結んでの住宅リフォーム助成制度の創設をはかること。小規模工事については、小規模事業者登録制度をつくり、零細業者の仕事確保をはかること。
C道路計画等においては、ローカルルールも採用し、県民の要求に早期に応え、財政の縮減をはかること
D新幹線の騒音・振動被害などについては、実態を調査し、改善のためにつとめること。今後の建設の際の用地買収等においては、説明責任、住民の合意と納得につとめること。
E熊本都市圏の交通対策の柱に市電を位置づけ、具体化していくことが、環境問題やエネルギー問題等を考えた場合重要になっている。その際長嶺線への延伸など、住民の側からの必要性、採算性を留意した総合的な路線計画づくりを、住民や研究者も入れて進めること。
F河川や海岸の整備の際、河川法、海岸法改正の趣旨に沿って、環境、住民の意見の反映に留意すること。
*川辺川・球磨川の治水対策については、別紙
G立替えだけでなく、県営住宅の新規建設を行ない、入居希望者の要望にこたえること。
H公共建築物および公共性の高い民間建築物にスロープ、障害者用トイレ、盲人用誘導チャイム、要所に点字表示を設置すること。また建築物の駐車場から入り口までの整備をすすめること。歩道の段差解消をすすめること。


<教育委員会>

@教育基本法改正法案を提出しないよう国に要請すること。
A義務教育費の国庫負担堅持を国に強く求めること。公務員の総人件費改革案は、教職員を実質削減するもので、少人数学級、小人数指導、特別支援教育などに重大な障害をもたらすもので、撤回を求めること。
B少人数学級の拡充、当面小学校3年生までの拡大をはかること。
C特別支援教育の実施に際しては、障害児教育の後退ではなく、障害児学級の存続、教室の拡充・整備など、障害児教育の存続、障害児教育条件のさらなる拡充を行うこと。LD・HDLDなど新たな教育の対象となる児童・生徒たちへの支援体制を充実すること。そのための必要な教員の増員を。
D公立小・中学校、高校の耐震診断、耐震化を抜本的に強化すること。
E体罰を完全になくすよう徹底すること。
F「管理主義教育」をやめ、教職員と生徒の自主性を尊重した学校づくりをすすめること。
G定時制高校は、働きながら学ぶ生徒はもちろん、不登校の生徒などさまざまな状況に置かれている生徒の学ぶ場を保障し、人間関係を築く場となっている。拡充をめざしつつ、維持存続に充分な力を尽くすこと。
H不登校などで悩む家族が自主的に組織した「会」との連携を強め、運営の助成や専門家による助言など支援を強化すること。
I冷暖房施設の整備や障害者用のエレベーターなどを整備すること。
J学校図書館の充実のため、専任の図書館司書を配置すること。
K職場環境と教職員の労働条件を改善すること。
L学校給食を教育の一環として更に充実するために、すべての小・中・養護学校に完全給食を実施し、栄養職員を配置すること。学校給食の民間委託やセンター方式を改め、自校方式で行なうこと。
M同和教育はなくし、県部落解放同盟・県同和会への補助金は廃止すること。―(2)の@
N内心の自由、思想信条の自由を奪う「日の丸」「君が代」の押し付けは絶対に行なわないこと。


<警察>

@交通事故・交通公害から県民の命と健康を守るために、死亡事故など重大事故、出会い頭の衝突 事故等事故多発箇所に、再発防止のための道路標示、信号機などの設置を講じること。住民の要望にこたえ、信号機(音響を含む)、カーブミラー、道路標識、横断歩道、照明機など設置計画を作り、予算を増額し、計画的に整備をおこなうこと。車優先から歩行者優先のまちづくりに改めるため道路構造、道路計画の見直しを行なうこと。
A暴走族等の暴走行為は近隣住民に騒音被害など深刻な問題となっている。抜本的な対策を講じること。
B交番署に警察官が常駐するよう、適切な人員を配置すること。
C年金担保融資や日掛け等の違法な営業行為による被害から市民生活を守るため、取り締まりを強化すること。
D「子どもの権利条約」の内容を、すべての警察官に徹底するとともに、研修科目に加えること。
E警察法第2条2項は、警察活動について「不偏不党」「公正中立」をうたい、「個人の権利および自由への干渉」を厳しく戒めていることを徹底し、遵守すること。
F憲法で保障された市民の政治活動や民主運動、労働運動に対する干渉や介入をやめること。
G情報公開と内部監査の強化をはかり、「裏金」疑惑問題にみられるような体質を根本的に改革すること。





日本共産党熊本県議会議員 松岡徹
〒862-8570  熊本県熊本市水前寺6-18-1議会棟内
TEL FAX  096-385-8770 MAIL :matsujcp@khaki.plala.or.jp