政策や提案

2004年 8月4日

超大型店の相次ぐ出店による影響調査と「商調法」の活用など諸対策について
熊本県知事潮谷義子様


超大型店の相次ぐ出店による影響調査と「商調法」の活用など諸対策について

1. 2003年1月23日、「地域経済を守り、地域金融活性化をはかるための緊急要請」を行いました。その中で、「大型店の出店・開業に対して現行制度の枠内での可能な対策」として、@影響調査を行うこと。A大型店出店・開業に関する条例の制定。B中心商店街の総合的発展、地域商店画の再生・発展、のための熊本市・都市圏の商業政策を策定すること。「政府に対して」は、@大型店の出店については、許可制にすること。A出店、撤退の際、社会経済的アセスメントを行うことを義務付けることを要請すること―などを申し入れいたしました。
 その後の状況を見ますと、事態は一層深刻、重大になっていると言わざるをえません。
 熊本市においては、平成6年から14年にかけて1759店舗もが減少し、空き店舗が急増し、多くの地域商店街の事実上の崩壊が進行しています。こうしたなか、店舗面積3万6千6百u、年間売上高2百10億円を目指す「ゆめタウン光の森」がオープンしました。さらに、嘉島町に、店舗面積6万u、年間売上高3百億円をめざす「ダイアモンドシティ嘉島SC」のオープン準備が進められています。超大型店の出店競争により、零細商店・地域商店街はもとより中心商店街、デパート等も甚大な影響を受けるのは必至です。
 こうした状況は、八代でのイオン系、イズミ系の大型店出店準備など、熊本市・都市圏にとどまらない事態となっています。
 加えてまことに由々しき問題として指摘しなければならないのは、県農業試験場跡地(5.1ha)が、イオン系のショッピングセンター計画にあてられることになったことです。「大店法」が廃止され、規制緩和万能的な国の施策と風潮のなかで、地方自治体として実効ある大型店出店・撤退の規制策は制約を免れ得ない状況にあります。だからこそ03年1月の「申し入れ」においても、「現行制度の下での可能な対策」と「国に対する要望事項」を分けて提起したところです。今回の県農業試験場跡地を巡る選択は、県自らの主体的な判断として、大型店開設を認め、零細商店、地域商店街を苦境に追いやるものであり、そこに近隣商店街はもとより、多くの中小行関係者などの不信と怒りが高まっている所為があります。
 なぜこうした政策決定がなされるのか―ということですが、零細商店、地域商店街の実態、さらには地域商店街がなくなったところで、高齢者や障害者はどのようにして日常の買い物をし、生活しているのか―等について状況把握がなされているのか疑問です。郊外型大型店出店によって、中心商店街がどうなっていくのか。新幹線開通を迎える段階で、中心商店街が空洞化し活気を失った熊本市に観光客の吸引力があるのか。交通渋滞の更なる深刻化とマスタープラン、アクションプログラムとの整合性はどうなるのか―等についての精査・検討はなされているのでしょうか。はなはだ疑問です。

2.以上のような基本的視点にたって、具体的な対策を要望いたします。
 大型店をめぐる問題は、「元気な熊本」「元気な産業づくり」という知事の政策目標遂行にとって、喫緊の課題であると考えます。ご検討のほどよろしくお願いいたします。

@大型店出店にかかわる
・大型店進出後の零細商店、地域商店街への影響
・中心商店街への影響
・大型店の進出・撤退後の地域の実態、特に高齢者世帯の日々の買い物、生活がどうなるか
・商店街の崩壊が地域コミュニティにどのように影響するのか
・郊外型超大型店の大規模な展開による交通ネットワークの変化、渋滞化
――などについて。調査・分析を行うこと。調査については、行政が行う、あるいは出店企業、出店予定企業が行う、さらには、「第3者」委員会が行うなど、適切な方途で実施すること。

A熊本市と都市圏の商店、商店街の振興、大型店の展開と地元商店(街)の共存共栄策、地域の消費者が買い物をしやすい商店街、お年寄りが歩いて買い物できる商店、商店街づくりなどについて、総合的に検討する「大型店と地域経済検討委員会」(仮称)を学識経験者、住民代表、商店街、商工会議所、行政、議会代表等によって確立し、「提言」を求めること。

B「大店法」(大規模小売店舗法)廃止後、地方自治体レベルで、大型店出店に対する規制策が困難な状況にあるが、「商調法」(小売商業調整特別措置法)によって、大企業と中小企業間に生じた紛争について、自治体として「調整・斡旋」を行うことは可能であり、県としても、対応すること。

C街づくり3法(大店立地法、都市計画法、中心市街地活性化法)の運用・具体化について、自治体としての主体性、積極性を発揮し、超大型店等の郊外での展開への規制を強めること。

D県農業試験場跡地の問題については、Aの「提言」がなされるまで、契約を「凍結」など、可能な措置を検討すること。

E超大型店の進出によって中小スーパーの撤退などが予測されます。撤退の場合は、一定期間をおいて予告を求め、県・関係市町村との事前協議をさせること。代替措置を求めていくこと。

F大型店の大規模、過当な進出と競争、その元手の零細商店、商店街の疲弊、高齢者などの消費者の新たな困難の広がりなどは、大店法の廃止とその後の法体系の不備によることは明らかです。国に対して法の見直し、整備を強く求めること。



日本共産党熊本県議会議員 松岡徹
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