質疑・討論の主な内容
2007年 11月 定例会 12月7日

川辺川ダム問題、特に河川整備基本方針検討小委員会への対応についての質疑
 
◆(松岡徹君) 日本共産党の松岡徹です。
 知事の議案説明要旨の川辺川ダム問題、特に河川整備基本方針検討小委員会への対応について質疑を行います。
 私は、6月議会の一般質問の中で、国交省が、小委員会に対して、基本高水の流量算出方法、計画降雨継続時間、計画基準点について、いずれも住民討論集会での説明を変更した内容を示していることを指摘し、なぜそうなのかの説明責任を求めること、データを公表すること、反対側の反証、反論の機会の保障を求めること、場合によっては結論を出さないことを求めてほしい旨述べたところであります。これに対して、知事は「熊本県民にとりまして非常に大事な点である、こういう観点からも意見を述べてまいりたい」と述べられました。この間の議事録などを拝見しますと、知事の県民の立場という揺るがぬ姿勢をうかがうことができるわけであります。
 また、中原議員への答弁で、知事は、小委員会の審議について「一般の県民の皆様の理解が十分に得られるかにつきましても疑問があり、今後も引き続きわかりやすい審議を求める」と述べられました。私も、小委員会の審議は、これまでのところ、県民にとってはますます疑念を深めるものになっていると感じております。
 まず、基本高水流量計算における降雨継続時間12時間の採用についてであります。
 降雨継続時間12時間を採用しているのは全国の河川でもまれであり、通常は2日雨量を採用しています。球磨川も従来から2日雨量を採用してきました。そのままであれば流量は7,000トンにならないので、わざわざ12時間雨量にしたとの指摘が各方面からなされております。
 最近審議決定された佐賀県の嘉瀬川は、流域面積、流路延長も球磨川に比べるとはるかに短く狭い川でありますが、降雨継続時間は、従来からの2日雨量を踏襲し決定しております。同じ九州であり、地域的な特性も相対的には似ている河川でありながら、採用した手法は違っている。
 嘉瀬川の審議も、近藤委員長を初め、球磨川の審議をやっている同じメンバーでやられておりますが、球磨川では、国交省の主張する12時間雨量の採用に積極的に賛成している同じ委員が、嘉瀬川の審議では12時間雨量についてほとんど触れておりません。鹿児島の肝属川の場合もほぼ同じであります。なぜ球磨川が2日間から12時間雨量に変わったのか。そこには特別な理由と意図があったのではないかと考えるのが妥当であります。
 2番目に、当初は、八代を計画基準点から外しておきながら、それをいきなり復活させ、さらに、いきなり近藤委員長が、以前とは全く違う、治水安全度を100分の1に、流量を9,900トンというのを持ち出し、結論にしてしまったわけであります。国交省自身があれほど計画は変更しないと言い続けてきたことが、これほど簡単に、地域の意見も聞くことなく、十分な説明も検証もなく、委員長の独断で決定されることがあっていいのかということであります。
 3番目に、流下能力についてです。
 昭和57年7月25日洪水で、人吉では5,400トンが記録されております。平成16年から18年にかけて、3年連続して発生した現在の計画降雨量に匹敵する洪水においても、既にかさ上げなどがなされている地区では余裕を持って洪水を防いでおります。河川の現況の流下能力を適切に評価すべきであります。
 こうした事実は、ダム依存ではなく、総合的な治水こそ球磨川には必要であることを示しています。しかし、こうした視点での流下能力の検証を、国交省と小委員会はかたくなに拒んでおります。
 小委員会の議論の問題点を絞って3点述べましたが、これまでの小委員会の審議では、県民を代表する知事も納得がいかない中で審議は進められ、一応の結論としたいなどとして、科学的に公正に検証すれば成り立ち得ない国交省の提案や委員長の判断が多数で確認されてきております。
 このままずるずるいくのではなくて、ここで改めて、県民にわかりやすい審議、県民への説明責任、公正な審議の保障などについて強く主張していくことが求められていると考えますが、知事の思いなどを伺いたいと思います。
  〔知事潮谷義子さん登壇〕
◎知事(潮谷義子さん) ただいまの御質問ですけれど、この5日の本会議において、中原議員にもお答えをいたしましたとおりに、基本高水の算出過程におきまして、科学的にまだ解明されていない部分、そして経験に頼る部分、こういったものが多くございます。また、十分な議論もないままに、八代の横石地点の安全度が変更されました。こういった状況から考えて、本当に県民の皆様方の理解が得られるかという疑問を私は抱いております。
 さらには、現在の河道における流下能力についてですけれども、治水を考える上で、できる限り河道に流量を配分するという基本的な考え方を踏まえますと、河川環境や社会的環境へ与える影響を考慮しながらも、さらなる技術的検討や創意工夫を行うことができないのか、そういう思いがございます。
 このようなことから、検討小委員会において県民にわかりやすい審議を求めるとともに、議論の結果やそのプロセスも含めて、県民に対する説明責任を果たされるように国土交通省に求めておりまして、今後も引き続き、同様のスタンスで小委員会には臨んでいきたいと考えております。
○議長(松村昭君) 松岡徹君。――残り時間が少なくなりましたので、質疑を簡潔にお願いします。
  〔松岡徹君登壇〕
◆(松岡徹君) 政党や議員それぞれ、イデオロギーとか政治路線の違いがあるのは当然だと私は思います。ただ、私は、この県政の最重要課題の一つであります川辺川ダムの問題では、何とか認識の一致、接近を図れないのかと常々考えております。そのために、国交省河川局のホームページを開いていただきますと、検討小委員会の議事録や資料がきっちり掲載されております。ぜひこれを議員の皆さんにも、特にダム推進の先生方には見ていただきたいと思います。
 これをつぶさに検証していただきますと、例えば、前の委員会では80分の1と言っていた学識経験者と言われる人が、次回には100分の1ところっと変わっているんですね。球磨川よりも、川の長さは3分の1、2分の1の川が――ですから、洪水の到達時間もうんと短いんだけれども、そこは2日間のままにして、球磨川は12時間にしているんですね。こんなのはだれが考えてもおかしいと思うんですよ。
 なぜそうなるかというと、人吉の7,000トンを確保しなきゃならぬ、それにつじつまを合わせなきゃいかぬ、そのためには八代を外そうとした、しかし、これも都合が悪いので復活させる、復活させるとすれば9,900トンとなる、そうなると中流部や下流部もまた検討し直さないかぬ、こういうようなことがなされております。
 いっぱい言いたいことはありますけれども、質疑でありますので、小委員会の今後の対応について知事に伺ったわけであります。知事には、御答弁いただいた立場で頑張っていただくと同時に、やはりデータの公表、反対側の反論、反証の機会の保障などについても求めていただきますことを最後に要望いたしまして、質疑を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。



日本共産党熊本県議会議員 松岡徹
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