質疑・討論の主な内容
2007年 2月 定例会 3月15日
●一般会計予算に対する反対討論
議会費用について
「産業の元気づくり」関係について
予算編成の基礎について
日本共産党の松岡徹です。
知事提出議案第36号、平成19年度一般会計予算に対する反対討論を行います。
 要調整額408億円を、行政改革推進債50億円、4基金の取り崩し358億円によって補うといった厳しい財政状況の中で、第3子以降の3歳未満児の保育料無料化など、子育て、少子化対策の強化など、一般会計予算案には、積極的に支持、評価できる要素もあります。
 同時に、予算案をトータルでとらえると反対せざるをえません。
現在の景気は「格差景気」ともいわれるように、一部の多国籍企業化した大企業などに膨大な富が集中する一方、「ワーキングプア」、生活苦が拡大し、増税や医療費の負担増なども重なり、そのことによる消費の落ち込み、景気の腰折れが、今後考えられます。またアメリカ経済の減速傾向との関わりも予断を許しません。
地方交付税が、「骨太方針」にそって基本的な見直しがなされることも重要な懸念材料です。
 熊本県の「中期的な財政収支の試算」が示されていますが、経済成長率の改善・向上に期待、依存することをベースにしているケース2及び3には、不確定要素が高いものと見るべきです。
ケース1は、2011年度の財源不足を、財政再建団体瀬戸際の186億円と試算していますが、財政運営としては、これをベースに堅調さを心がけていくべきだと思います。
そうした際に、財政困難を理由に、子育て世代の圧倒的な要求である乳幼児医医療費助成の大幅年齢引き上げ、あるいは少人数学級の拡充などが、今回の予算案でも見送られるなど、福祉や暮らし関連は絞るが、本来削るべき無駄や不必要分にはメスを入れないといったことがあっては絶対ならないものです。
同和関係予算は、若干減ったとはいえ、尚5365万円であります。一般質問でも指摘しましたが、会員14万2千人の県PTAが75万6千円、18万6千人の老人クラブ連合会が145万8千円、部落解放同盟の実会員数は、対策課によると「つかんでいない」ということでありますが、数年前の資料ではわずか32支部1200世帯であります。
部落解放同盟県連の支出内容は、細かくは明らかにつかんでおりませんが、支部の実態を見るとひどいものです。菊陽支部では、補助金が特定の政党の国会議員の選挙応援に使われ、日本共産党小林町議の追及で、不適切な支出として返金されています。「支部長会議」などの会合が、5000円ほどの費用を使って、飲食店で頻繁になされており、補助金が使われていないか、各地で、問題視されています。こうした「部落解放」とは逆行する状況を促進する役割を県の補助金が果たしているといわなければなりません。
 不当・不公正な団体補助金を温存しながら、「財政が厳しい」ので県民も我慢をといっても通用するものではありません。

議会費用について
同じようなことは、議会費用についても指摘しなければなりません。県議の海外視察に2500万円、前年比335万円増です。費用弁償、53、032千円であります。海外視察の凍結、費用弁償の実費支給ということは、政務調査費の領収書添付と併せて、議会の良識、けじめとして、当然なすべきことであり、こうした海外視察の費用、費用弁償の高すぎる計上については同意できません。議会関係費の従来型の支出は抜本的に見直すべきであります。

「産業の元気づくり」関係について
次ぎに、「産業の元気づくり」関係です。
戦後農政の大転換といわれる品目横断的経営安定対策は、農業県熊本の命運を決めるほどの大問題であり、これに対しては、厳しく対処し、「熊本モデル」を対置するぐらいの構えで臨む必要があります。同対策は、4ヘクタール以上の農家、20ヘクタール以上の集落営農以外の農家を価格保障の体制から除くものですが、それさえも、あくまでスタートであり、農水省が、「基本計画」と一緒に発表した「農業経営の展望」においては、個別経営15f〜25f、集落営農34f〜46fとしており、さらなる規模拡大、弱小切り捨てが展望されています。
品目横断…対策を含む農業の構造改革をまとめた財界人を中心にしたシンクタンク「日本経済調査協議会」高木委員会の最終報告は、農家が農地を手放すために、農地固定資産税の引き上げ、相続税の猶予制度など特例の見直し、外国人農業労働者の受け入れ、外国での農業生産など、まさに日本農業を壊滅的に破壊する、驚くべき構想を打ち出しています。政府追従型の県農政では、熊本の農業を取り返しのつかない困難に導くことになることを指摘しておくものです。
野菜価格対策の見直し、あるいは林業に於ける新生産システムも、弱小農家、業者の淘汰などの問題が懸念され、慎重さを求めるものです。
 
予算編成の基礎について
次に予算編成の基礎についてであります。
 熊本県においては、細川知事時代の「県行革」以来、その是非は別に論ずるとして、行政改革では、他県の先を走ってきたと言えるかと思います。しかし、すでに役割を次のプランに譲った「熊本県財政健全化計画」が、本県財政悪化の主要な要因の一つに、「累次に渡る景気対策のために県債を増発してきたこと」をあげているように、事実、90年には、4592億円だった県債残高が、2000年には、1兆1189億円にふくれあがったように、どんなに行革で絞っても、大型公共事業など特大の財政支出の蛇口を閉めなければ、財政改善は進みません。熊本港、あるいは臨海工業用地造成、工業用水道事業における公債費、借入金の実態も教訓とすべきでしょう。
長期にわたって県財政を圧迫する大型の公共事業については、今後一層厳しくチェックしていくべきであります。川辺川ダム建設も、当然その対象にすべきであります。 
以上で、知事提出議案第36号、2007年度一般会計予算に対する反対討論を終わります。




日本共産党熊本県議会議員 松岡徹
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