質疑・討論の主な内容
2007年 2月 定例会 2月27日
●入札制度に対する反対討論
決議案の中身について
改革の必要性について
日本共産党の松岡徹です。議員提出議案第1号に対する反対討論をおこないます。
入札制度に関するもろもろの点は、これまでも、本会議、常任委員会等で論議されてきたし、決議案が述べている一般的な捉え方は、議論済みという感じがいたします。 
 そういう点で、この先議案件を議決するこの場で、いきなり決議ということに違和感を覚えますし、不適切だと考えます。
 また決議案の主旨は、「改革は当然だ」としながら、さまざまな「懸念」があるので、改革は、慎重にというようにもうけとれるわけですが、そうした決議をあげることが、結果として、何をもたらすのかということもあります。
 そうした点で、決議の採択には同意できません。

決議案の中身について
 次に、決議案の中身です。私は、これまでもこの場で、また建設常任委員会において、度々、入札制度の改革について述べてまいりました。決議案の文面は、一見すると私の立場・見解と近いようでありますが、果たしてそうかーということであります。
 まず、政府主導の入札改革についてであります。地場企業、中小企業の保護を言うなら、なによりもまず、この点が肝心です。政府の意図、目指すものは、談合などについての国民の批判に応えるという、善意のものでも、単純なものでもありません。政府自身、建設投資は今後もへっていくと見ています。これに対応して業界規模を縮小させていく際、一律に全体を縮小させるのではなく、大手ゼネコンへの集中を図り、そのもとで、大手元請け層の再編、下請け、孫請け層のスリム化を図るというものです。
 総合規制改革会議などは、官公需による中小企業の受注、地域要件の設定、地場業者とのJV、地元企業の下請けでの活用などを、競争を阻害する要因と捉え、是正すべきとしています。あえて決議ないしは意見書をあげるなら、こうした政府主導の大手を軸にした業界再編のための「安ければよい」式の「入札改革」に異を唱えるものこそ必要であります。
 関連して政府の規制緩和推進のなかで進められている総合評価方式ですが、性能、機能などの技術提案を点数化すれば、中小企業よりも大手が有利なのは当然であり、単純な導入は避け、十分な研究が必要であります。

改革の必要性について
 次に、改革の必要性についてです。公共事業はいうまでもなくさまざまな社会資本を整備する事業です。日本の公共事業はGDPの8%程度を占める莫大なものです。この莫大な公的資金による事業、地方では、産業全体に占めるその役割がより高くなっていますが、これを市場に流しだす仕組みが入札制度です。ここにさまざまなゆがみが生まれ、犯罪までも多数発生させ、社会的批判を受けている現実があります。
 入札制度のゆがみをもたらした指名競争入札の本質は、一部の有力業者が、公共事業の元請けを長期にわたって独占できることです。このもとで、実際に施行を担う下請け、孫受けは、安い単価で請け負うことになります。元請けは指名業者間で独占されているので、下請け、孫請けは、この構造から抜ければ仕事を失うので、厳しい条件のもとでも、ぬけだすことは困難です。労働者は、低賃金と不安定な状況におかれています。指名競争入札制度のなかで、指名業者が、みずからの儲けを最大限えるための仕組みが談合です。この談合をよりうまくやるために政官財の癒着構造が生まれました。業者が予定価格を行政から聞き出す際、その過程に政治家が介在します。業者から、談合によって得た利益の一部が、協力した政治家に渡されます。こうした構造が一連の官製談合です。
全国知事会が、「官製談合を行わない、行わせないという確固たる意思をもって官製談合との決別を対外的に宣言」し、「指針」をまとめたのは、至極当然なことであります。熊本県においても、05年度の平均落札率は、九州では宮崎に次ぐ95・4%であったし、荒瀬ダム撤去関連工事の03年・、04年,05年度の落札は、最高99・65%、最低98・31%、平均落札率が99・30%という状況でありました。、税金の公正な使われ方、下請け、孫請けの保護、そこで働く労働者・職人の賃金と就業形態の改善などを留意した、熊本の実情に応じた、公共事業の入札制度の抜本的な改革は進めなければならず、 なにものによっても妨げられてはならないものであります。
  
入札制度改革が、中小業者、労働者・従業員の利益と地域経済発展につながるものになるためには、次のような点が重要であります。
 資本金、技術力、工事実績、経営状態等によるランクわけをし、中小業者に受注機会を与える条件付一般競争入札、不良不適格業者の入札への参入を防止するための、入札参加資格審査の基準を明確にした公正・厳格な審査の実施、大型公共事業の工種毎の分離発注と施行可能なものの地元中小業者への発注、共同企業体についての地元中小業者同士の組み合わせの追求、さらには日本特有の重層下請け制度による非民主的な受注構造の転換も課題とすべきであります。また現場で働く労働者の賃金・労働条件を改善し、建設産業労働者の賃金・労働条件を一定の水準で保障するルー―ルのうえにたった公正な競争を図っていくようにしなければなりません。地場の中小零細企業保護をいうなら、県の公共事業に入札できなかった小規模業者が直接元請けになれる「参加希望型競争入札」の検討・具体化も臨まれます。
 最後に、決議案は、建設業者の廃業・倒産、労働条件の悪化、失業者の増大を懸念材料としてあげていますが、決議案の提案者の議員各位が、先の11月県議会において、「建設産業のルールづくり」請願を否決されたことと著しく矛盾するものであります。政治家たるもの論理と行動において一貫性が問われる―ということを指摘し討論を終わります。



日本共産党熊本県議会議員 松岡徹
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