質疑・討論の主な内容
2006年 9月 定例会 10月4日

常任委員長報告についての討論
・一般会計補正予算についての反対討論
・県議会議員の費用是正に関する請願について
・教育基本法「改正」法案の廃案を求める等の請願について

 
◆(松岡)日本共産党の松岡徹です。常任委員長報告についての討論を行います。
 まず知事提出議案第1号・一般会計補正予算についてです。
 障害者自立支援法については、昨年の国会審議の段階から、「障害者の負担増になる」「障害の重いほど負担が増える」との懸念と批判が大きくたかまり、4月からの法施行の際、「住民の福祉の増進」を主たるつとめとする地方自治体において、8都府県244市町村で独自の支援策がとられました。本県においては残念ながらそれはなされませんでした。
 これについては百歩譲っても、9月県議会には、県としての緊急の支援策が提案さるべくだったと私は考えます。
 補正予算については、「当初予算確定後のいろいろな政治・経済・社会情勢の変化によって既定の予算に追加し、あるいは変更を加える必要が生じ」た場合、さらには当初予算の編成時に、予期できなかった制度の改正、事情の変更、公共事業の配分決定等によって編成されるものであります。 
 障害者自立支援法は、成立が昨年末であり、そのうえ複雑な仕組みであり、準備期間もあまりないなか、国自体が具体化にやっと追いつくか、つかないかといった状況のなかでの4月施行となりました。私は、2月と5月に厚生労働省に要請にいきましたが、2月の要請のとき、熊本のコロニーのようなケースについては「想定していなかった」との驚くべき回答があったほどです。そうした状況のなか、06年度の県の当初予算に、事態に的確にかみ合った中身が具体化できなかったのは無理からぬ面もありました。
 しかし4月になっていざ障害者自立支援法が施行になると、障害者と家族、施設関係者、障害者団体などから、堰を切ったような訴え、要望が県に寄せられたわけです。負担軽減を求める署名はごく短期間の間に6万をこえています。
 大分県では、知事が、9月県議会への議案説明のなかで、「障害者自立支援法の施行に伴い発生している課題に対し、全国に先駆けて本県独自の緊急対策を行」う、「障害者の自立を促進すべき法律が、その趣旨に反して、障害者の意欲や生活の質を低下させることがあってはならず、県は緊急支援を行う一方、国に対しては、持続可能な制度となるよう強く改善を求め」ると表明し、小規模作業所緊急支援、児童デイサービス利用促進、障害児施設利用者緊急支援など、74、113千円の補正がなされています。
 県としての障害者の負担軽減策については、今議会における自民党の代表質問で船田議員からも強い要請がありました。つまり県議会の意思としては、自民党から共産党まで、負担軽減でまとまっていることが明らかになりました。
 そういう面からも、私は、9月県議会に補正予算として、障害者の緊急支援策を計上すべきであったし、それがなされなかったことが、返すがえすも残念であります。この点にこだわって、また、今後具体化がなされることを願って、一般会計補正予算には反対いたします。

 請願101号、県議会議員の費用弁償の是正に関する請願は、採択さるべきであり、継続には反対であります。
 請願は、県議会議員は、毎月の歳費、政務調査費に加えて、本会議、委員会に出席した場合、費用の弁償が、熊本市の場合、1日12000円、益城・嘉島―18100円、宇土・植木・御船―23500円など多額が支払われているが、県財政も逼迫しており、県民の暮らしの実態からして、これを実費の支給にすべきではないかというものです。私はこれは道理のある主張だと思います。
 費用弁償をそもそもどう捉えるかという点では、「新版 逐条地方自治法 第2次改訂版」によると、議員などが「職務を行うために要する費用の弁償」であり「実費弁償と同じ意味」とされています。その額をいくらにするかということでは、「議会の裁量判断にゆだねられている」と解していますが、「議会の裁量判断」だからといって極端に高額になってよいとするものでは当然ありません。むしろその議会の良識の度合いが図られるものだと考えるべきであります。
 請願が触れております、区分の問題でありますが、包括外部監査報告では、「条例は昭和28年に制定され、それ以後単価の改正は行われているが、…区分等は変更されていない。当時とは交通事情が変わっており、熊本市以外のすべての地域に宿泊料が必要だとは考えられない。区分の見直しを検討されたい」と鋭く指摘しています。自転車、徒歩が主な交通手段だった昭和28年当時と現在の交通事情がいかに違うかは論を待たないものです。外部監査制度は、公認会計士などの資格を持った人による監査制度で、監査委員の監査と並行的に存在させることにより、監査の信頼性や透明性など、監査機能の向上をめざすものです。この外部監査が、議会の費用弁償の改善を求めている意味を、議会自身が真摯に受け止めることが求められています。
 本議会に、県議の海外視察の際の支度料の廃止についての提案がなされております。県議の海外視察の凍結、支度料の即時廃止、費用弁償の見直し、政務調査費の収支報告の領収書添付といった議会改革について、9月13日松村議長に要請いたしましたが、支度料廃止ということで、良識が早速発揮されたことに敬意を表しつつ、さらなる改革を求めながら、費用弁償の是正を求める請願は、継続ではなく採択し、本県議会の良識を示すべきであることを述べ討論といたします。

 請願103号・教育基本法「改正」法案の廃案を求める等の請願は採択さるべきであり、不採択には反対です。教育基本法「改正」案の問題点については、6月県議会における意見書の提出者説明で詳しく述べたところですが、安倍政権誕生でその重大性がさらに鮮明になりました。安倍首相の立場は、「人格の完成」という教育本来の目的を、「志ある国民を育て、品格ある国家、社会をつくる」ことに置き換え、「美しい国」という特定の価値観にもとづく国家観にたって、「国策に従う人間づくり」を進めるものであります。さらにそのために教育への国家統制を強化するというものです。戦前、教育が完全に国家の支配と統制のもとにおかれ、軍国主義一色に染められた歴史の教訓を忘れてはなりません。請願103号の不採択には反対であることを表明し、討論を終わります。



日本共産党熊本県議会議員 松岡徹
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