質疑・討論の主な内容
2006年 9月 定例会 10月4日

議員提出議案に対する質疑
・高校再編問題

 
◆(松岡徹君) 日本共産党の松岡徹です。
 本定例県議会における議案説明要旨の中で、潮谷知事は、誘致企業と地場企業の連携強化、産業基盤の整備、技術力を支える試験研究機関の充実強化、企業ニーズを踏まえた人材の育成に努めることを強調されました。
 産業基盤の整備、人材の育成との関連で、本県議会の代表質問、一般質問でも多く取り上げられました高校再編問題について、教育長に伺います。
 高校再編問題については、日本共産党熊本県委員会として、9月19日、A4、4ページにわたる問題提起と提案を行ったところであります。その中で、今回の再編は、戦後の教育改革以来の大きな改革であり、また、本県の高校進学率が98.5%に達する中での再編であることからして、関係者はもとより県民的規模での説明、論議、合意が必要であること、教育基本法、学校教育法の精神、規定を踏まえたものであることを提起いたしました。
 また、素案のもとになっている県立高等学校整備推進協議会の最終報告が、再編協議の重点を子供に対する教育効果に絞り込むことによって、高等学校の地域振興に果たす役割、地域に根差した学校の持つ教育効果を不当に軽視し、教育効果を上げるための適正規模として1学年4学級を下限とし、小規模校の統廃合といった結論が導かれていることを指摘いたしました。
 子供たちに対する教育効果を言うならば、現在の高校教育の中で最も解決が求められている不登校、落ちこぼれ、退学などの問題を解決する方向こそが示されなければなりません。しかし、素案の中身は、逆に矛盾を深めることになりかねないものになっております。
 高校は、地域にとっては地域経済と文化の核をなすものであります。高校の持つそうした役割をさらに強化することを地域は求めております。今回の再編計画は、それとは逆に、高校再編の名のもとに、地域の衰退、過疎を促進するものであり、父母、OB、教育関係者、自治体関係者、農林水産業者などが怒りと批判を高めているのは当然と言えるものであります。
 戦後の高校教育の基本である地域総合性ということを今改めてとらえ直すことが求められております。単独存続、中高一貫、中高連携教育、総合学科制等の課題もその中で適切な方向を導き出すことが求められております。
 下限4クラスを適正規模とすることも、教育学的に確たる根拠のあるものではありません。一方、県内においても、小規模校においてすぐれた教育実践がなされております。小規模校、中高一貫、連携教育、さらには総合学科等については、専門家の英知も集めて多面的に検討することが必要であります。
 以上、今回の素案に示される高校再編についての問題点を挙げましたが、こうした視点に立って教育長に質疑をいたします。
 再編の対象に農業校、工業校、水産校があります。高校再編そのものは教育委員会の専管事項ではありますが、知事部局の関係部課との協議、連携はやられてきたでありましょうか。密なる協議、連携が必要ではないでしょうか。
 96年の国際教育会議の教師の役割と地位に関する勧告は、教育改革における教師の役割を指摘しております。今回の再編計画において、この点はしっかり保障されているでありましょうか。
 高等学校の適正規模、小規模校、中高一貫、中高連携教育、総合学科制等については、専門的、実践的検証、研究がさらになされるべきではないでしょうか。
 代表質問、一般質問に対する教育長の慎重な議論を行う、スケジュールの再検討も検討するといった答弁については評価をしておりますが、以上述べました中身、内容との関係でも、関係者、県民の中でのしっかりとした説明、議論、合意を求めていくべきだと思いますが、いかがでありましょうか。
 〔教育長柿塚純男君登壇〕
◎教育長(柿塚純男君) 県立高校の再編整備に関する計画の策定に当たっては、地域のニーズやあるいは産業等に合った学科あるいは学校づくりなどが必要でありまして、当該校の意見集約あるいは関係部局との意見交換など、関係者との連携をとりながら、また地域の意見も伺いながら進めてまいりたいと考えているところでございます。
 なお、地域説明会や個別の説明会、あるいは県教育委員会に直接いただいたさまざまな御意見、御要望、あるいは県議会での議論を踏まえて慎重に検討していく必要があるということから、お答えを既にしておりますように、スケジュールを再検討しているところでございます。

 〔松岡徹君登壇〕
◆(松岡徹君) 少子化や生徒数の減少といった問題との関係で、いわゆる適正規模として下限4クラスが設定されております。そして、小規模校を統廃合していくということでありますが、こういったやり方というのは、教育という営みにおいては安易であり、後に悔いを残しかねないものであります。
 小規模校の役割についても、私は、しっかり検証し研究し生かしていくことが今大事ではないかと考えます。
 天草西校の場合、1学年2学級、全校生徒66名の高校でありますが、中高連携教育、スポーツの面では、ウエートリフティング、インターハイ10年連続出場など、見るべき教育実践がなされております。
 八代農業高校泉分校では「森で学ぶ、森に学ぶ。」をモットーに、恵まれた自然環境の中で、自然を教材として、人間本来のあり方や自然の生かし方について体験的に学習する。カリキュラムでは……
○議長(松村昭君) 残り時間が少なくなりましたので、質疑を簡潔に願います。
◆(松岡徹君) (続) 普通教科に加え、専門教科としてグリーンライフの授業が組まれております。
 こういった小規模校におけるすぐれた教育実践というのは、今回統廃合の対象になっている小規模校にも当然あると思います。こういう点をしっかり検討していただきたいと思います。
 最後に、高校再編問題は、地域の振興、活性化、農林水産業の振興、熊本の元気づくりと不可分のものであります。そうした点では、潮谷知事においても適切な対応をしていただきますことをお願い申し上げて、私の質疑を終わります。




日本共産党熊本県議会議員 松岡徹
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