質疑・討論の主な内容
2006年 6月 定例会 6月30日

議員提出議案に対する反対討論
・国営川辺川土地改良事業の早期実現を求める決議について
・第31回オリンピック競技大会の招致に関する決議について
 「安く」「安定した」水を、「一日も早く」農家に届けることについては、再三本議会でも取り上げてきたことであり、いうまでもないことであります。
 議員提出議案1号、国営川辺川土地改良事業の早期実現を求める決議案は、新利水計画づくりにおける事前協議の位置付け、役割を不当に軽視し、事前協議の運営に圧力をかけ、枠をはめるもので、結果として新利水計画づくりを困難にするものであり、反対するものです。
  03年6月の関係者の基本合意―すなわち
「新利水計画策定にあたっては、国、県、市町村が一体となってとりくみ、熊本県が綜合調整役を担う」
「対象地域への水源については、ダムによる利水に限らず、他の水源の可能性についても調査を行う」
「計画規模については予断を持たずにのぞむ」
「対象農家約4400戸、一戸、一戸に対し、ていねいかつ迅速に意向の把握、集約を図る。それにもとづき水源および水利権の客観調査を行う」
「対象農家に対しては、公平に説明し、情報の提供と共有を図りながら進める」
―というルールにもとづいて、さる3月まで3年近く粘り強い協議がなされてきました。
 ところが、福永浩介人吉市長が、事前協議にあまり出席せず、また自らの代理として出席した者から正確に聞き取りをしなかったことによる認識の誤りから、事前協議を一方的に欠席したことにより、事前協議は中断を余儀なくされ3ヶ月を費やしてしまいました。「時間がない」「急がなければならない」を言うならば、ダム利水論者である福永人吉市長の重大な責任が問われなければなりません。
 さらに大事なことは、事前協議は、農家の3分の2の同意が得られる案を示すために、関係者が協議を重ねてきたものであり、時間がないから協議を終われと求めるのは、新利水計画づくりと事前協議の役割をまったく理解しないものといわなければなりません。
 昨夜の事前協議でも、水利権をはじめとする重要事項が明確に煮詰まっていないことが明らかになり、土地改良事業組合関係者からも、「いろいろわからない点がる」との発言がなされるなど、協議の大事さが明らかになりました。
 また昨夜の事前協議に、国交省九地整河川部長名の農水省新案に対する回答文書なるものが示されましたが、このことは、新案が非ダム案であることを事前協議で仮置きして、農水省から国交省にダムによる利水需要がないことを通告し、両大臣協議を―と求める主張の現実性、妥当性を裏付けるものです。
 従いまして、あえて議会の立場でものを言うならば、監督チェックの対象である県執行部が、綜合調整役として、公正・中立の立場に厳格にたって運営にのぞみ、農水省、国交省に対して、02年6月の原点に戻って、事態解決に応じるようさらに強く働きかけることを求めることでありましょう。
  以上の理由で議員提出議案1号には反対であります。


 議員提出議案2号、オリンピック招致に関する決議についてであります。
 オリンピックは、国をこえ、人間の能力と技を競い合う、平和の祭典として、大きな意義をもっていると考えるものであり、オリンピックがその本来の目的にそって益々進化・充実していくことを願うものであります。
 同時に、そのオリンピックの福岡開催をどうとらえるか。なおかつ熊本県および県議会がどうかかわるかということは、分けて考えることが、福岡招致を巡る現実の実態を直視するならば必要になっているということです。
 TNC(テレビ西日本)の福岡へのオリンピック招致についての調査によると賛成30%、反対67%となっています。日本共産党福岡市議団が実施した市民アンケートでは、回答者4000人余で、反対が85・5%にものぼっています。
 なぜこうした結果がでるのか。それには理由があるようです。
福岡市の場合、借金が2兆7千億円にものぼっており、これにオリンピック費用5000億円のうちの市負担分1000億円、市民1人当たり7万円、4人家族で28万円がかぶされば、市の財政、市が本来やるべき、暮らし、福祉、教育などの財源はどうなるのか―という不安・疑問が広くあることです。
 加えて福岡市においては、土地が売れず借金が嵩み、2015年には400億円の一括返済が迫られている人工島問題を抱えており、これに加えてオリンピックに乗じての大型開発への財政の投入への強い警戒感があるようです。
 大型ハコモノや道路はゼネコンが請け負い、経済効果も一時に終わり、その後施設の維持費用にも多額を投入している長野オリンピックの顛末を福岡市民の多くが知っているからでもあるでしょう。
 こうした開催招致市である福岡の現実も考慮にいれ、熊本としては冷静、慎重に対応するのが適当ではないでしょうか。
 オリンピックが、九州の一体的発展に寄与するという点でも楽観的にだけ見れるものではないでしょう。むしろ福岡一極集中をさらに加速させる面もあるでしょう。
 熊本の発展、九州一体の観光を含む経済振興のためには、普段の堅実な努力こそが求められています。
 以上の理由で議員提出議案2号には同意できません。
 



日本共産党熊本県議会議員 松岡徹
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