質疑・討論の主な内容
2006年 6月 定例会 6月30日

知事提出議案や請願についての反対討論
・熊本県税条例の一部を改正する条例の制定について
・改憲手続法案の廃案を求める請願について
・議員の海外視察の凍結を求める請願について
・庶民大増税に反対し、大幅な減税を求める意見書提出を求める請願について
・先の通常国会で成立した医療制度改革関連法の実施の中止を求める請願について
知事提出議案第3号、県税条例の一部改正については、個人住民税所得割額の減税を06年度で廃止し07年6月徴収分から増税とするとの地方税法改正に伴うもので、いわゆる定率減税廃止という重大な内容を含むもので同意できません。定率減税廃止は、一方ではぼろもうけの大企業などの法人税率引き下げは見直さず、サラリーマンを中心とする定率減税のみを廃止するもので不当極まりないものです。また住民税の増税は、国民保険料・介護保険料の雪だるま負担増に連動するもので、県民の暮らしをさらに圧迫することになります。

請願85号改憲手続き法案の廃案を求める請願」についてであります。
 先の通常国会で継続審議となった、与党および民主党それぞれが提出した「国民投票法案」は、どちらとも憲法九条をかえて、日本を「海外で戦争をする国」につくりかえる動きを大きく前にすすめる重大な法案であります。
 憲法制定から60年間、改憲を手続き法案が国会で取り上げられることは一度もありませんでした。それは、国民が、憲法の平和と民主主義を強く支持し、改憲を具体的に必要としてこなかったからであり、手続き法がないことで、国民の権利が侵害された事実はどこにもありません。
請願の中でも述べられておりますが、この間の世論調査をみても、国民の多数は、いま改憲手続き法を必要としていません。
政府与党は「具体的な改憲構想とは切り離して、公正、中立な制度をつくる」といっていますが、自民党はすでに「新憲法草案」を発表し、憲法九条を変え、アメリカの先制攻撃の世界戦略に自衛隊を組み込み、世界のどこでも米軍と「戦争できる国」にする方向を明らかにしています。改憲手続き法案が、現に進行している憲法改悪と密接不可分にむすびついていることは誰の目にも明らかであります。
 同法案の狙いは、九条改悪を中心とした改憲を出来るだけ低いハードルで実現することを企図したものです。
 国会の中では改憲勢力が多数でも、国民の多数は、九条を変えて日本が「戦争をする国」になることを望んではいません。この国民の真の声、思いに応えて、請願85号は採択されるべきであります。

 請願86号「議員の海外視察の凍結を求める請願」についてであります。
同請願につきましては、市民団体などから過去にも県議会への請願、また議長および知事へ要請が行われています。しかし、今年5月には一人当たりの経費、95万円を支出しての海外視察が実施されました。
 3万人の署名が集められても乳幼児の医療費の就学前までの無料化はいまだ実現していません。一般質問でもとりあげましたが、今年4月に施行された障害者自立支援法による負担増、施設・事業所の収入減への、県独自の支援策が切に求められています。
 請願の主旨は、県議として国際的レベルの見識を広めるうえで海外視察自体を否定するものではありません。厳しい県財政の現状、更なる国による財政縮減が予測されるもとで、福祉や教育を充実させながら、県の財政を立てなおすためには、当分凍結すべきではないかというものであります。この願意は道理に叶ったものであると考えます。請願86号の不採択には反対します。

 請願第90号「先の通常国会で成立した医療制度改革関連法の実施の中止を国に求める請願」についてであります。
 医療改悪法が先の通常国会で可決成立しました。医療改悪法は、審議の中で与党議員からも「欠陥だ」との声がでるほどの問題が噴出した法案であります。日本医師会を含む国民医療推進協議会が集めた改悪反対署名は1700万人分にも達しました。
 医療改悪法は、75歳以上の後期高齢者医療制度を新たにつくり、すべての高齢者から保険料を徴収し、滞納者からは保険証を取り上げることまでを法律化しました。こんな血も涙もないやり方は許せません。療養病床の削減については、地方公聴会で与党推薦の公述人からも疑問が相次ぎました。
 もう一つの重大な柱である「混合診療」の拡大は、保険証で誰でもかかれるという日本の医療の土台を壊すものです。この全面解禁を求めているのは日米経済界であり、これらのもうけのために国民皆保険制度を犠牲にするのは言語道断であります。
 法律は成立しても、見直しをさせることは可能であります。同法案は、中長期的な制度改悪の枠組みは決めているものの、これからの予算措置や診療報酬などの政策誘導で実行する「計画」が少なくありません。
 国民、県民の命と暮らしを守るためにも請願第90号の不採択には反対します。

 請願第89号「庶民大増税に反対し、大幅な減税を求める意見書提出を求める請願」についてであります。
 今、政府与党は財界の意向を受けながら、本格的な大増税・大負担増路線に踏みだしています。定率減税の廃止、物価スライドによる年金給付削減、介護保険料の引き上げや高齢者医療制度改悪など、国民負担増が次から次に進められています。
 小泉内閣のもと、生活保護世帯の数は年々増え続け、月平均で百万世帯に達するほどになっています。また、貯蓄ゼロの世帯が増加し、約4世帯に1世帯が貯蓄ゼロという状況であります。とりわけ単身世帯の場合、貯蓄ゼロ世帯が4割と、半数に迫っています。
 税と社会保障は本来、所得に応じた負担によって高所得者・企業から低所得者へと所得を再配分する機能を持っています。しかし、自民党政治は、この間、大企業、高額所得者の税負担を軽減し、庶民、中小企業に増税を課してきました。その結果、貧困層拡大に拍車をかけています。「景気がようやく上向きかけようとした段階で、消費税や社会保険料の引き上げなどにより国民に負担増を求めた97年と同じ轍を踏んではならない」と日本商工会議所も05年度に公表した「当面の諸課題に関するポジショニングペーパー」で小泉内閣による負担増路線に疑問を呈しています。
 雇用が破壊され、所得が減り続け、貧困と社会的格差が広がっているなか、大増税
の道を許したら国民、県民の暮らしと経済に何をもたらすかは明らかであります。よって請願第89号の不採択には反対します。



日本共産党熊本県議会議員 松岡徹
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