質疑・討論の主な内容
2005年 2月定例会 3月23日

平成17年度05年度一般会計予算について
武力攻撃事態法、国民保護法関連議案について
水とみどりの森づくり税条例案について
地域農業改良普及センターの廃止について
介護保険制度の改善を求める請願(不採択)について
県立大学の授業料値上げをしないことを求めた請願(不採択)について

学習指導要領の強化の目標を最も踏まえた中学校用歴史・公民教科書の採択を求める請願(採択)について

平成17年度05年度一般会計予算について
 05年度一般会計予算については、厳しい財政事情のなか、小児救急医療対策、難病患者支援事業、中小企業支援など、福祉、医療、くらしに配慮した施策を具体化しております。こうした点については、積極的に評価したいと思います。
 同時に、3万を越える署名にこめられた乳幼児医療費の無料化、窓口払いの改善や父母、教員の強い要望となっている少人数学級の拡充が見送られています。
 一方、県PTA連合会への補助金は84万円であるのに対して、法的根拠も社会的道理もない部落解放同盟、同和会への補助金は、前年なみの5386万円も計上されています。これは1昨年11月県議会での「財政健全化の取り組みを踏まえ―検討する」との執行部答弁にも背くもので厳しく抗議するものです。
 現在県関与の工業団地の残地は、24区画、53.5ヘクタールもあり、これ自体の解決への展望もないなか、工業団地施設整備事業として21億9700万円が計上されています。
 有明工業用水事業の赤字、年間事業費の46%超を借金返済が占める港湾事業、西部天草リゾートの結末などはいずれも、その時々の政府の政策や時流にのった、言わば「呼び込み方式」型政策によるものであり、今回の措置も、こうした誤りを繰り返すことになりかねません。
 「産業の元気づくり」では、農林水産業、観光など熊本の内発的力の育成にこそさらなる力をいれるべきであり、限られた財源はそうした分野、あるいは福祉、人づくりに当てるべきです。以上の理由から、一般会計予算案については、反対するものです。


武力攻撃事態法、国民保護法関連議案について
 57号、63号、64号は、武力攻撃事態法、国民保護法関連のものです。政府が、3月4日に公表した「国民の保護に関する基本指針」案は、日本をとりまく安全保障環境については、「我が国に対する本格的な侵略事態生起の可能性は低下している」との認識を示しています。このことからも明らかなように、武力攻撃事態法、国民保護法の企図というのは、アメリカの世界でのイラク型の先制攻撃戦争に、日本と国民、地方自治体を組み込むものであり、そうした体系を地方自治体に求めることに対しては、国連憲章、憲法、地方自治法の原則に立って、厳しく反対するものです。


水とみどりの森づくり税条例案について
 水とみどりの森づくり税条例案については、個人県民税均等割、法人県民税均等割の納税者に対して、それぞれ500円、法人税の5%を徴収し、年額約4億2千万円の新財源を確保しようというものです。 
 目的にうたう森林の保全については、もとより異議ないものでありますが、いくつか問題点を指摘しなければなりません。
 その第1は、そもそも現在の森林の危機とも言うべき事態は、国の政治が、加工林産材などの輸入による林業の圧迫、臨調行革による補助金の削減、国有林管理の人減らしなどをすすめたなかでつくられたものであり、この点での政策転換を図らなければ、森林は守れないということです。
 2点目に、今年から来年にかけて、定率減税の縮小・廃止など7兆円の負担増、そして消費税増税と大増税・負担増路線がすすめられているなかでの、新たな県民への負担増については慎重にならざるをえません。
 3点目に、県の財源確保については、莫大な支出をもたらす大型の公共事業の抜本的見直しを徹底してすすめることが重要です。先日国交省に川辺川ダム事業費の県負担額を確認したところ、15年度までで413億円ということでした。財政再建の軸を、こうしたゼネコン儲け方の大型公共事業、不要不急の支出の見直しにしっかりすえて進めることが不可欠です。また同和関係補助金の廃止などをはかるべきです。以上の点で62号には反対いたします。


地域農業改良普及センターの廃止について
 地域農業改良普及センターの廃止については、地域農業にとって、大事な、「直接農業者に対して、援助・指導する」という改良普及所機能が弱まり、普及員の姿が農家から見えなくなり、存在そのものがやがては問われるといった悪循環をさらに進めるものとして反対であります。


介護保険制度の改善を求める請願について
 介護保険制度の改善を求める請願については、県内の特別養護老人ホーム待機者が、03年2月の5500人から、04年11月には8933人に増えていることにみられるように、基盤整備が追いついていないこと、特養ホーム入居者は、居住費、食費の自己負担により要介護度5で個室の場合13万4千円、相部屋でも8万7千円になることなどを指摘し、改善を求めているものであり、不採択ではなく採択すべきであります。


県立大学の授業料値上げをしないことを求めた請願について
 請願63号は、県立大学の授業料値上げをしないで―というものです。中央教育審議会でさえも、学費値上げについて、「高等教育をうける機会を断念する場合が生じ、実質的に学習機会が保障されない場合がある」と指摘しています。請願者がセンター試験の際行ったアンケートでも、大学生活の不安として、「学費が高い」をあげた受験生が最も高く40・5%もあったということです。憲法26条が保障する「教育の機会均等」という点からも、請願は採択すべきであります。


学習指導要領の強化の目標を最も踏まえた中学校用歴史・公民教科書の採択を求める請願について
 教科書採択の基準は、憲法、教育基本法におくべきであり、日本教育学会の通説として「教師の参考書・手引書にすぎず、法的拘束力を持たない」と指摘されている学習指導要領を教科書採択の主たる基準に求めるのは適切ではありません。
 また請願が、歴史分野での「自国の歴史」「自分への誇り」等にふれていることに関連して、そうした点をことさら強調しているのが「新しい歴史教科書」ですが、この教科書は、日本の近・現代史において最大の問題である侵略戦争と植民地支配などの重大な国家的犯罪を、まったくゆがめ、誤まった歴史をこどもたちに伝える内容になっています。
 この歴史教科書についての、大江健三郎氏の「日本人が自信を持っていた時代として、教科書の書き手が超国家主義から侵略戦争に至った時代を考えているのなら、それこそ、その軍隊の犯罪を、日本人として学び反省することが、どうして日本の子どもたちに自信を失わせ、その誇りをなくさせるのか?……過去の歴史において、犯した過ちを認め、未来においてそういうことをやらない日本人へと、現在において自分を鍛えることが、自信と誇りをかちとるために、何よりも自然なやり方ではないか」という指摘を紹介し、請願の反対討論とします。





日本共産党熊本県議会議員 松岡徹
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