質疑・討論の主な内容
2004年 9月定例会 9月30日

中国における反日行動是正のための措置を求める意見書
家電リサイクル料金の前払い制度導入について


中国における反日行動是正のための措置を求める意見書
について
 中国における反日行動是正のための措置を求める意見書でありますが、この議案を考える上では、まず、サッカーアジアカップの際の一部の中国人がとった行動に対して、中国政府がどういう態度をとったか、この問題が日中政府間でどういう形になったかということ。次に、今あえてこうした意見書を出すことがどういう意味を持つのか、日中関係、さらにはアジアの中の日本はどうあるべきかという二つの角度から考える必要があると思います。
 まず第一点ですが、離任あいさつで訪れた中国の駐日大使に対して、小泉首相が「スポーツマン精神にのっとったよい試合になり、双方の国民が楽しめるもの」になるよう「期待している」と述べたのに対して、駐日大使は「主催国としてしかるべき措置をとる」と述べています。中国政府は、一部の中国人サッカーファンによる行き過ぎた行為に賛成しないとの態度を表明し、しかるべき対処をいたしました。このことについては、当時の河村文部科学大臣も、スポーツのことですから、そんなに荒立てなくてよいと思いますが、やはり行き過ぎはよくない、中国政府も、このことについては随分配慮をして、かなり大規模な警備をしていましたと述べております。つまり、日本政府の要請に沿って中国側が事の重大性を受けとめ対応した、日中双方の政府が冷静に節度を持って事の解決に当たったということであります。こうした中、あえて意見書を出すことが適切かということであります。
 二つ目の問題、あえて意見書提出という意味がどこにあるかということです。
 この点を考える上で、日本が位置するアジアが今どうなっているのか、政治、経済がどの方向を向いてまとまっているのか、そうした中での日中関係ということを正確に把握することが重要であります。
 9月3日から5日にかけて、第三回アジア政党会議が北京で開かれました。2000年に第一回会議がマニラで、2002年に第2回会議がバンコクで開かれたのに続いて開かれたもので、面積で地球の3分の1、人口の6割を占めるアジア全体から、35カ国、81の政党が、政権党、野党の区別なく参加した会議であります。
 会議では、地域の安全保障と多国間の協力、経済成長と社会進歩、政党の建設と国家の発展の3つのテーマで話し合われ、領土と主権の尊重、相互不可侵、平等・互恵、平和共存の平和五原則、国連憲章の尊重、国際紛争の平和解決による、戦争のない平和と発展のアジアをつくる明確な方向づけをした宣言を採択しました。
 ASEAN、東南アジア諸国連合においては、アメリカと友好関係を持つが支配されない、どの国であれ覇権は認めない、アジアの問題はアジアで解決するということを原則にした共同体が構想されております。北朝鮮問題では、六カ国協議という形で、問題を平和的に解決しようとの努力がなされているのは御承知のとおりであります。
 アジアは、20世紀においては、戦争と対立、分裂の大陸でしたが、21世紀初頭においては、他のどの大陸にもない、交流、協力、発展のアジアになってきております。こうしたアジア全体の流れの中において、日中関係も、対立、敵対ではなく、協調と信頼の関係を前向きに築いていくことが肝要であります。こういう立場に立つことが、憲法9条を持つ日本に今こそ求められています。このことが、日中間の経済の交流、協力の発展にもつながるものであります。
 意見書の趣旨とそれがもたらす影響というのはこれに逆行するものであり、同意できません。
 なお、この会議には、先ほど申し上げましたアジア政党会議には、日本から、民主党、公明党、日本共産党、社民党が参加しております。アジアの政党のほとんどが集まり、特に主要な政権党の首脳部が勢ぞろいをしている、そこに唯一いなかったのが日本の政権党だったということはやはり残念であります。
 アジアの平和、日本の安全保障ということでは、政府と与党が、国連憲章と国際法規、憲法に基づいて、アジア全体を見渡した外交政策をとることが求められております。
 具体的な課題を若干述べますと、まず、小泉首相の靖国神社参拝を改めることが重要であります。北朝鮮問題は、六カ国協議を初め、理性的な対話と説得による解決を図ることがアジアの平和のために不可欠であります。
 また、北方領土の問題も避けて通れません。日本がロシアに領土返還を要求する最大の論拠は、千島列島全体が日本の歴史的領土であるにもかかわらず、第二次大戦後の不公正な処理によって、ロシア、当時はソ連に引き渡されたというところにあります。ロシアとの領土返還交渉に当たっては、スターリンの領土拡張主義の是正という原点に立ち返り、サンフランシスコ条約の千島放棄条項の不当な制約にとらわれず、千島列島、歯舞、色丹という日本の歴史的領土全体を対象とすることが重要であります。


家電リサイクル料金の前払い制度導入について
 家電リサイクル料金の前払い制度導入について要望する意見書について述べます。
 一定の改善については認めるものでありますが、家電リサイクル法の一番の問題点、根本的に改善すべき点を先送りするという点で同意できません。
 家電リサイクル法では、ヨーロッパでとられているような、製品の製造から廃棄物になった後の処理までメーカーが責任を持つということになっておりません。製品をメーカーの責任で引き取り、処理費用はメーカーが製品の製造コストとして負担するという仕組みにしてこそ、不法投棄の防止だけでなく、メーカーが処理コスト削減を目指し、再利用しやすく、処理費用のかからない製品開発に力を注ぐことになります。
 家電リサイクル法実施後、処理費用負担、不法投棄の増加など、さまざまな問題が明らかになっていますが、こうした問題を解決するためには、製造から処理までメーカー責任を明らかにすることによってこそなされるものであります。
 以上反対討論といたします。





日本共産党熊本県議会議員 松岡徹
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