質疑・討論の主な内容
2006年 4月定例会 4月27日

「水俣病公式確認50年を迎えるにあたっての宣言決議」案についての質疑

◆(松岡徹君) 日本共産党の松岡徹です。
 水俣病公式確認50年を迎えるに当たっての宣言決議案についての質疑を行います。
 世界最大の水公害であり、公害の原点である水俣病公式発見50周年を前に、熊本県議会として「昭和31年5月1日は、水俣病が公式に確認された日であり、」「永遠に忘れることのできない歴史的な日である。」として、被害者の救済、公害のない社会への決意に立って決議を議決することについては、まことに意義のあることであり、私ももとより賛成するものであります。
 その上で、幾つか明確にする点があると考え、質疑をいたします。簡潔に、かつ県議会各会派の意向を集約し、まとめるということで、案文自体の制約もあったかと思います。提案者の思いも含めて答弁をいただければと思います。
 まず、一昨年10月の水俣病関西訴訟最高裁判決に対する姿勢についてであります。
 最高裁判決は、国が、昭和35年、水質保全法、工場排水規制法に基づく規制権限を行使しなかったこととあわせて、熊本県知事が、県漁業調整規則32条に基づく規制権限を行使しなかったことを、国家賠償法1条1項の適用上、違法であると断罪をいたしました。
 県が国に対して食品衛生法適用の判断を求めた際、水俣湾のすべての魚介類が危険であることを証明できなければ食品衛生法は適用できないとした国の態度に見られるように、私は国の責任が大きいと考えておりますが、同時に、水俣病の原因食品が水俣湾の魚介類ということがわかった時点で、保健所の権限で魚介類を食することを規制すべきだったということも重大な事実であります。
 潮谷義子知事は、昨年の2月定例県議会での私の質問に対して「国と県が、それぞれの立場と責任において、もっと早い段階で、被害を未然に防止するための対策に可能な限りの手を尽くしていれば、これほどまでの被害」「はなかったのではないかと思います。水俣病関西訴訟最高裁判決で行政に問われた」のは「まさにこの点であり、行政の責任」は極めて「重いものと受けとめております。」と述べられております。
 決議案は、県議会としての最高裁判決への真摯な意思を厳粛に込めたものでありましょうか。この点について伺います。
 次に、決議案は「認定申請や裁判を通して、救済を求める声はいつ絶えるともわからない状況にある。」と指摘した上で「救済の道は、国のかたくななまでの強硬な姿勢によって閉ざされたままである。」と述べております。
 この点は、最高裁判決後、認定申請者が3,700名を超えるほどになり、ノーモア水俣裁判の原告が1,000名を超え、さらにふえ続ける中、それでも国があくまで昭和52年判断基準を変更せず、そのことにより県の認定審査会の再開さえできないといった現実などを指すものと私は理解する次第ですが、いかがでしょうか。
 次に、深い反省とともに、何よりも水俣病問題の真の解決への確固とした取り組みこそが今求められていると思います。決議案は「国に対して一日も早い被害者救済」「を引き続き」「求めていく。」としていますが、まさに一日も早くすべての被害者を水俣病と認め、救済することこそ政治に求められております。
 具体的には、既に確定している最高裁、福岡高裁における司法判断をもとに、被害者救済の基準と仕組みを早急に確立すること、不知火海沿岸住民と地域の健康調査、環境調査を国の責任で行うことであります。こうした被害者、裁判原告の要望、要求にこたえる姿勢と内容を基本的に含んだ決議であってこそ、意義も効力もまた大きなものであると考えますが、いかがでしょうか。
 以上3点について、提案者にお伺いをいたします。

◎(中原隆博君) この議員提出議案第1号水俣病公式確認50年を迎えるに当たっての宣言決議に対する松岡議員からの質疑に、水俣病対策特別委員会を代表いたしまして回答いたしたいと思います。
 松岡議員の質疑の趣旨は、関西訴訟最高裁判決を県議会としてどう受けとめるのか、また、国の
一日も早い救済の道、認定基準の見直しが必要であると思うが、決議文では読み取れないということのようであります。
 提案いたしました決議文は、御指摘のとおり、関西訴訟最高裁判決を初め、いずれも委員会の中で十分に議論を重ね、各委員の考えを反映させながら、委員会の全会一致のもと、本議会に提案したものであります。
 平成16年10月の水俣病関西訴訟最高裁判決をいま一度厳粛に受けとめ、悲惨な公害を二度と繰り返してはならないと深く心に刻むものであります。
 今後、委員会の審議等を踏まえながら、被害者救済のため、国と県が一体となって対策を急ぐ必要があると思います。
 そのためには、執行部や地元の市や町、国、国会議員各位と十分に連携を図りながら、水俣病対策に取り組む重要性を今ひしひしと感じております。
 熊本県議会としては、来る5月1日の水俣病公式確認から50年の節目を迎え、被害者の方々や御遺族、御家族の方々の長きにわたる今日までの苦痛と苦難に思いをいたし、一日も早い解決につながる救済策や認定審査会の早期再開に向けた条件整備など、国に対して強く要望してまいる所存であります。
 公害の原点であるこの水俣病の悲劇を二度と繰り返さないよう、その再発防止に努め、県民とともに安全で安心な社会の実現を世界へ向け強く宣言し、発信してまいりたいと思います。
 以上、質疑に対する回答といたします。




日本共産党熊本県議会議員 松岡徹
〒862-8570  熊本県熊本市水前寺6-18-1議会棟内
TEL FAX  096-385-8770 MAIL :matsujcp@khaki.plala.or.jp