質疑・討論の主な内容
2006年 2月定例会 3月22日

議員提出議案「経営所得安定政策についての意見書」についても主旨説明
 

 日本共産党の松岡徹です。 岩中伸二議員と共同で提出しております、議員提出議案第7号「経営所得安定政策についての意見書」についての提出者の説明を行います。
  農水省は05年10月、07年度から実施する「経営安定政策」の大綱を発表しました。
 日本農業に大きな影響を与えるのは米、麦、大豆、砂糖用テンサイ、でん紛用バレイショを作付けする農家に実施する「品目横断的経営安定対策」です。これまでの価格保障策や経営安定策を廃止する代わりに、厳しい要件をクリアした農家や集落経営体に対して国が交付金を直接支払うものとなっております。
経営規模要件は、認定農業者が、北海道以外は、4ヘクタール以上、5年後に法人をめざす集落営農組織が20ヘクタール以上というものですが、これには農家や自治体関係者からの批判、不安が続出し、「特例」として緩和条項が設けられました。
 熊本県の認定農業者の経営類型別では、野菜経営が42%、果樹類が16%であるのに対して、稲作0・9%、麦作1%、雑穀・イモ類・豆類が0・4%です。農業法人は470であり、この4年間の伸びは僅か68に過ぎないのに、5年後の基準年までには約倍化しなければならないと県計画ではなっています。今回の「品目横断的経営安定化対策」がいかに本県農業の実態とかけ離れたものであるかは明らかです。
 農水省が最近発表した、全販売農家を対象に実施した「05年農林業センサス」調査では、家族経営は197万戸でしたが、このうち3ヘクタール以上の経営面積を持つ農家でさえ18万5730戸(9.4%)しかありませんでした。このままでは9割以上の農家が「対策」から排除される危険性があります。
 農水省は、価格保障を廃止して直接支払い制度に移行する理由として「WTO(世界貿易機関)における国際規律の強化に対応したもの」と説明しますが、EUやアメリカは、農業政策を直接支払い中心に移行させながら価格の下支えも継続しています。日本の政府だけが国際規律を強調し、国内農業にもっぱら国の支援なしの国際競争を求めているのです。
 今、食料自給率が世界でも最低である日本の農政が力を入れなければならないのは、生産を維持・拡大することであります。そのためには、どれだけ多くの農家を生産活動に参加させるかが重要であり、価格の安定と保障は決定的です。
 情勢の進展によって、経営規模や経営形態の変化はある意味では避けられませんが、それでも地域に定着した農民による生産が基本になることは変わりありません。欧米でも世界的にも多くの農業生産が家族経営によって担われています。
 農業経営の拡大や改善も、現実を出発点にし、地域や農家のもつ可能性を汲みつくすものでなければなりません。現状からかけ離れ、地域や農業生産の諸条件を無視して規模拡大を押し付けることこそ破綻の原因であることは、これまでの幾多の経験からもあきらかであります。
   対象作物を限定することも、地域や農家の自主性をそこねることになります。現場の努力に関係なく「担い手」の条件を示し、それに従わせるのではなく、それぞれの条件を尊重し、集落営農をふくむ多様な共同の維持・発展をはかることこそ必要ではないのでしょうか。
 集落営農の存続も担い手の確保も、価格の安定や販路の確保など、農業生産の維持、発展の条件を保障することが前提であり、そこにこそ農政の責任があります。
 以上の点を述べまして意見書についての趣旨説明といたします。ご賛同のほどよろしくお願いいたします。




日本共産党熊本県議会議員 松岡徹
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