質疑・討論の主な内容
2006年 2月 定例会 3月14日

知事の議案説明および06年度一般会計予算に関連しての質疑
(川辺川ダム問題)

知事の議案説明および06年度一般会計予算に関連しての質疑
(川辺川ダム問題



日本共産党の松岡徹です。知事の議案説明および06年度一般会計予算に関連して質疑を行います。
今議会への議案説明のなかで知事は、「県民中心の視点を貫きながら」「直面する課題に果敢に挑戦」するとの姿勢を表明されました。
 県政の重要課題である川辺川ダム問題では、利水、治水対策においても、この視点が益々重要になっていると考えます。
 川辺川ダム問題について、県民、流域住民の意向調査が過去にいくつかなされておりますが、ひとつの例として、01年の11月12月に地元紙が行った調査では、「本体着工に入るべき」が8・9%であるのに対して、「計画自体を取りやめるべき」26%、「論議がつくされるまで着工は見合わせるべき」28・9%、両方をあわせると54・9%になっています。球磨川流域でも、「着工に入るべき」19・1%に対して、「取りやめ」「見合わせ」は44・9%となっています。こうした傾向は他の調査にもほぼ共通しています。
 加えて、昨年末から今年にかけて、私と党熊本市議団で、熊本市の不特定の世帯に配布し、受け取り払いによる封書でのアンケート調査を実施いたしました。さまざまな立場から800通を超える回答が寄せられていますが、川辺川ダム問題での潮谷知事のスタンスについて、「評価する」が63%、「評価しない」18・1%
 知事の県政運営に対しては、「評価する」が62・4%、「評価しない」が18・4%となっています。
 さまざまな困難もありますが、広範な県民の思いと激励を支えに、ダムを前提とせず、利水事業においては、早く、安く、安定した水を農民に届ける、治水においては、16号、14号台風で被害にあった、あるいは危険に見舞われた具体的な地点の解決のために、「県自ら実行し、国にも働きかける」という姿勢で臨んでいただきたいと思います。
 ダムにかかわりまして、土木部長に伺います。
 97年改正の河川法においては、ダムをつくる、あるいはつくらないといった具体的な検討はどの段階においてなされると理解されているでしょうか。
次に、治水対策ですが、海岸を除いて一般に豪雨災害はどのような形で発生しているのでしょうか。2点について簡潔に答弁願います。

土木部長)まずどの段階でダム計画は明らかになるのかということでございますが、新河川法では、治水計画として、河川整備基本方針及び河川整備計画を策定することとなっております。
 このうち河川整備基本方針では、長期的な河川整備の基本方針として、基本高水並びにその河道及び洪水調整施設への配分等を定めることとなります。また、ダム等の具体的な河川工事につきましては、河川整備計画で定められることとなります。
 次に2点目の「水害」の種類についてでありますが、河川法及び水防法に「水害」は規定されておらず、河川法第一条には「河川について洪水、高潮等による災害の発生の防止」が、水防法第1条には「洪水又は高潮に際し、水災の警戒、防ぎょ、被害の軽減」が目的として記載されております。なお、国土交通省の河川・砂防技術基準には、「洪水や高潮等による氾濫より、人命や財産及び社会経済活動等が被る被害」という記述がございます。また、水害の形態としては河川からの氾濫による被害と河川への排水ができずに発生する内水被害とがございます。 一方、土砂災害は、いわゆる土砂災害防止法で、急傾斜地の崩壊、土石流又は地滑りを発生原因とする災害という定義がなされているところでございます。


答弁をいただきましたが、要するに新河川法においては、河川整備基本方針で、基本高水流量、計画高水流量などを検討し定める、河川整備計画において、ダムなどの具体的な河川整備の中身を定めるわけです。河川法16条の1項、2項において明確にされております。
 「国の方針はダム建設である」とか、「あくまでダム推進」といった議論も一部になおありますが、今年にはいって、国交省が、改正河川法にもとづいて河川整備基本方針および河川整備計画策定の着手に至った段階で、ダムは白紙になっているのであります。
 さらに河川整備計画のなかで仮にダム計画がはいったにしても、最も短い、国交省の見通しでも10年、原告団弁護団試算では20年もの期間を要し、それまで農民は水を待たねばなりません。
 こうした点から考えますと、早く安定した水を、堰案よりもよりやすく農民に届けたいとする今回の県の案は、受益農家・農民の願いに沿ったものであり、関係農民、県民の共感と支持得るものと私は確信するものです。
 災害の問題ですが、海岸を除く水害について、答弁で、河川の氾濫、内水被害、土砂災害の三つの形があげられましたが、ここで注視する必要があるのは、ダムによって防ぐ可能性のある水害というのは、これら3つの区分のうちの河川の氾濫ひとつに限られているということです。住民討論集会でも明らかになりましたが、球磨川水系の豪雨災害死亡者は54名ですが、そのうち53名は、土石流やがけ崩れなどでなくなったものであり、川辺川ダムが仮にあり、国交省や推進側が言うような機能を発揮したとしても53名の方々の命を救うことはできなかったわけです。
 さらに、ダムは、超過洪水による被害、ダムの操作ミス、内水災害の拡大、環境破壊、莫大な財政負担、ダム堆砂、ダム寿命等々のリスクを伴います。
 こうした点を考えますと治水においてもダムに頼らない総合的な治水を求めることが賢明な道であります。
熊本県の立場は、治水対策において、「県でやるべきことは速やかにやり、国にも求めていく」ということだと理解しています。
 土木部長に伺います。
 18年度県予算と計画で、この点はどのように具体化されているのでしょうか。

(土木部長)昨年、一昨年の台風被害を踏まえました平成18年度の球磨川流域の治水対策につきましては、川辺川につきましては、相良村雨宮神社付近のたい積土砂の除去をすること、また、五木村宮園地区では、被災した護岸等の復旧や老朽化した護岸等の復旧工事を予定しております。
 なお、球磨川につきましては、球磨村の球磨川支川である小川については、本年度調査を実施しているところでございまして、また、芦北町漆口地区では、対策の検討のための調査等を国、町と連携して行っているところでございます。






  



日本共産党熊本県議会議員 松岡徹
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