質疑・討論の主な内容
2006年 2月定例会 2月28日

熊本県国民保護計画について
水俣百間排水路および港内でのダイオキシン土砂の浚渫・除去について

 日本共産党の松岡徹です。知事提出議案等への質疑を行います。
 まず報告第1号、熊本県国民保護計画について総務部長に伺います。
 県の国民保護計画は、国民保護法に基づくものですが、国民保護法の大本には武力攻撃事態法があります。武力攻撃事態法は、武力攻撃予測事態すなわち「予想される」と政府が判断すれば、日本がどこの国から攻められていなくても、米軍の戦争を支援し国民を動員する体制に移れるようにするというもので、日本が「有事」になっていなくても、国民と地方自治体、報道機関などが動員されるという法律であります。
 そこで地方自治体の役割ですが、法では「当該地方公共団体の住民の生命、身体及び財産の保護に関して、国の方針に基づく措置の実施その他適切な役割を担うことを基本にする」としています。これは武力攻撃事態法、国民保護法の下でも、地方自治体の役割は、国の役割とは違い、住民の生命、身体および財産を保護するために独自に活動するというものであります。
 県国民保護計画においては、国民保護における県の使命として、住民保護であるという立場に明確に立っているのでしょうか。
 放送事業者等の報道機関の報道の自由、取材の自由は、国民の知る権利というものは、堅持しなければならない基本的な権利です。武力攻撃事態等の「有事」の際こそこれらは保障されなければなりません。
国民保護措置ということでこれらの制限があっては絶対なりません。
県国民反保護計画では、この点に関連して基本方針のところで、「放送の自律を保障することにより、その言論その他表現の自由に特に配慮する」としております。「配慮する」という弱いレベルのものでありますが、言論の自由や放送の自立が謳われております。
同時にその一方、被災者情報収集のためとして、指定地方公共機関は、「収集した被災情報を速やかに県に報告する」ことが求められています。こうした規定によって、報道機関からの情報提供の拡大が求められていることにならないかー懸念されるところであります。「高度の公共の福祉のため」などの理由づけで、言論、報道の自由、取材の自由、知る権利が侵害され、狭められることがないよう、しっかり堅持されていくことが大事だと考えますがいかがでしょうか。2点について総務部長に伺います。

 つぎに、一般会計補正予算、水俣百間排水路および港内でのダイオキシン土砂の浚渫・除去についてであります。
 ハッキリ申し上げて、水俣病原因企業としてのチッソの言動に深い疑念と憤りを感じています。
今年にはいってチッソ「百周年謝恩会」の等挨拶文に、水俣病問題が「収束に向かいつつある」との驚くべき認識が示されたのはご承知のとうりです。チッソの分社化の動きも以前から伝えられています。
 関西訴訟最高裁判決後認定申請者が3500人を超え、「ノーモア水俣訴訟」原告がすでに1000名近くになり、1500名、2000名に近々なろうとしています。新保険手帳も2000名を越えています。
事態は収束どころか、水俣病問題の真の解決を求める流れと声が大きく広がり高まっている状況であります。
最高裁で行政が断罪されましたが、これはチッソが免罪されるというものではなく、原因企業の責任がさらに重く問われているというものであります。

 水俣百間のダイオキシン浚渫・除去工事をめぐる経過は、チッソが最高裁判決とその後の事態をまったく理解していないか、意図的にしようとしていないかを端的に示したものでした。
同事業は、環境基本法、公害防止事業費事業者負担法にもとづいて、原因企業チッソの寄与率―いわば公害の原因の度合いを99%と算定したうえで、現状を考慮しチッソの負担を3分の2とすることで進められることになっていたものであります。ところがこれにチッソが異議申し立てをいたしました。その異議申し立てというのは、「そもそも環境基準等は、行政のためのものであり、チッソに基準の遵守を義務付けるものではない」という論理で、3分の2負担は「誤り」とするもので、世界最大の水公害・水俣病の原因企業の文書かと疑うほどの内容でありました。
異議申し立ては却下され、チッソは事業負担を受け入れたわけですが、チッソがとったこの行動によって、人命と環境にとって一刻を争う、緊急を要するこの事業がとまってしまいました。どれだけ先延ばしになってきたのでしょうか。土木部長に伺います。


(総務部長)
 まず、武力攻撃事態等が発生した場合における県の役割についてでありますが、いわゆる国民保護法に基づきまして避難、救援、武力攻撃対処への三項目を行うことになっております。
 具体的には、まず避難に関しては、国からの警報の発令や避難措置の指示を受けまして、市町村に通知し、また非難の指示をすること。それから二つ目に救援に関しましては国からの支援の指示を受けて市町村等の協力を得ながら生活必需品や収容施設、医療の提供等をすること。それから三つ目の武力攻撃災害への対処につきましては、警戒区域の設定、非難の指示、および緊急通報の発令等を行うこととなっております。
 次に国民の知る権利、報道の自由についてでありますが、今回作成しました県・国民保護計画の中で放送事業所が行う警報、および避難の指示、ならびに緊急通報に関する放送につきましては、先程県議からご説明がありましたように放送の自立を保障することにより言論の自由に特に配慮する旨、指定しております。そういうことで検討しましても、報道の自由の重要性は認識しているところです。
 又、放送事業者から県へ提供していただく情報は例えば、武力攻撃等により当該放送局の設備が使えなくなった場合における被害状況があげられます。放送事業者が取材活動により知りえた情報を県に提供しなければならないということにはなっておりません。


(土木部長)
 水俣港、港湾ダイオキシン対策事業についてでありますが、平成17年2月23日に事業者負担金総額等を通知いたしました。同年4月22日に同社から異議申し立てがなされ、それに対し県は同年9月7日に企画する旨を通知したところでございます。この処分につきましては、本年2月17日にチッソ株式会社取締役専務が県を訪れまして県の企画処分を受け入れるとともに公害防止事業に協力していきたいとの意向を表明いたしました。
 現在の事業の進捗状況といたしましては、昨年12月21日に同社から提案があった土砂処分場候補地について現在測量や地質調査を実施中であります。今後とも事業の促進に努めてまいりたいと考えております。

 



日本共産党熊本県議会議員 松岡徹
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