質疑・討論の主な内容
2005年 9月定例会 9月28日

知事の知事提出議案や請願についての討論
 ・「国営川辺川土地改良事業の新利水計画の
       早期策定に関する請願」について

 
補正予算について
 ・国民健康保険調整交付金条例について

知事の知事提出議案や請願についての討論

「国営川辺川土地改良事業の新利水計画の早期策定に関する請願」について

請願に対する反対討論を行います。
 請願の趣旨は、川辺川ダムを取水源にした新利水計画を求めるもので、到底賛成できません。
 さる9月15日、国土交通省は、川辺川ダム建設関連の強制収用裁決申請を取り下げました。これにより川辺川ダム建設事業計画そのものが白紙となりました。川辺川ダム計画そのものが白紙になったわけですから、8月の農家アンケートの前提そのものが崩れ、結果そのものも不確かなものになったとみなければなりません。またアンケート調査の結果、除外同意が91%にものぼっていることは、事態を謙虚に直視すべきことを示しています。
 請願第70号が、存在そのものが不確かとなっている川辺川ダムを利水源とすることを求めていることは、実態としても論理としても根本的な無理があると言わなければなりません。
 ダム建設計画発表から39年、利水が加わってから37年、長い長い年月がたちました。
ダム利水にこだわるということは、さらにこれ以上、長く長く、水を待てと農民に求めるもので、農家の要求、願いよりも「ダム」を優先するものです。
 いま求められるのは、ダムありきの立場を脱して、より早く安く安定した水を、押し付けることなく農民・農家に届けることであり、それは非ダム案以外にはありえません。
 川辺川・球磨川の治水対策では、昨年の16号、今年の14号台風の結果からしても、森林の整備を進め、保水力を高め、堤防かさ上げ、川幅の拡幅、河床の浚渫・掘削、遊水地の確保・整備、内水排水設備の整備など、総合的な治水対策を急いで本格的に推進することであります。
 逆に治水対策を川辺川ダムに求めることは、さらに10数年も、流域住民の生命と財産を危険にさらし、財政運用上も、川辺川ダム関連にムダな財政を投入し、急がなければならない森林整備や河川整備を遅らせることにならざるをえません。
 私が一般質問でとりあげた川辺川ダム関連の調査費問題。つまりこの6年間だけで100億近くにもなる、球磨川全体の河川改修費に匹敵するお金を、具体的な治水対策事業に投入すれば、その分河川改修や森林整備は前進し、雇用や地域経済にも大きなプラス要因となったはずであります。
 巨大ダムをつくることは、環境を壊し、山から川、海への土砂の供給を弱め、八代海・有明海の再生への逆行要素をも拡大します。
 五木村の再生のための大橋や学校の整備などの社会基盤整備、さらには地域振興策、これらに国・県・村が一体になってとりくむことは、ダム建設とは区別して急いで進めなければなりません。
 川辺川ダム建設にこだわることによるマイナスは挙げればきりがないほどです。
 そしてまた、今の県財政、財政の今後の見通しからして、こんな川辺川ダム建設にこだわる余裕などありえません。県政の責任与党である自民党にも熟慮を願うものです。
 知事には、しかるべき時期において、県民多数の意を汲んだ決断をのぞみます。
 以上、請願に対する反対討論といたします。


補正予算について
 次ぎに知事提出議案1号、補正予算についてであります。一般質問や常任委員会、特別委員会での発言、本会議での質疑・討論などで明らかにしているように、災害対策や水俣病対策の推進のための予算等にはもとより賛意を示すものであります。
 私があえて補正予算に異をとなえる理由は、道路予算等における国の内示減による減額の問題です。
 そもそも国においては、「グロ−バル化に対応する」ために、「選択と集中」による国土基盤の利用開発をすすめるとして、国際空港、スーパー中枢港(港です)、大都市高規格道路整備への集中的投資を行う一方、国民生活に必要な事業は削減する方向を強めています。道路関係の17年度予算では、地方道のバイパス整備や拡幅事業などの一般改築費が14.0%、維持修理費が9.8%削減されています。こうした大都市優先、地方切り捨てとも言うべき公共事業予算のつじつまあわせのために、緊急かつ切実に求められている生活道路予算等の内示減がなされているものであります。こうしたあり方については、県議会として、党派を超えて「異議あり」との声をあげていくべきであります。この点を指摘し補正予算についての討論とします。

国民健康保険調整交付金条例について
 次ぎに知事提出議案11号国民健康保険調整交付金条例についてであります。
 一連の国庫負担引き下げなどにより、今日の国保財政は悪化をたどり、相次ぐ保険料値上げ、保険料滞納世帯の増大、保険証とりあげなど、深刻な矛盾が広がっています。法改正は、こうした事態の解決ではなく、逆行させ、矛盾を拡大するものです。
 三位一体改革のもとに、国民健康保険に都道府県負担を導入し、国庫負担をさらに引き下げるというもので、国のしわ寄せを都道府県に被せるものです。さらに都道府県負担導入に伴う国の財政支援策は3年先は未定というもので、国の無責任さ極まれりというものです。こうした国のあり方に異議を唱える意味を含めて反対するものです。





日本共産党熊本県議会議員 松岡徹
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