質疑・討論の主な内容
2005年 11月定例会 12月14日

定率減税全廃中止を求める意見書についての趣旨説明

 定率減税全廃中止を求める意見書についての趣旨説明 

 岩中伸司議員とともに提出しております議員提出議案第5号、「定率減税全廃の中止を求める意見書」についての趣旨説明を行います。
政府税制調査会は、先月11月25日、2006年度税制「改正」答申を小泉純一郎首相に提出しました。答申には、07年度からの所得税・住民税の定率減税全廃による3.3兆円の国民への増税が盛り込まれています。
 石弘光政府税調会長は、「景気の現状」と「導入時の議論」を踏まえるなら廃止してもいいとの説明を行っておりますが、これは経済の現状や家計の実情をあまりにも無視したものであるといわざるを得ません。
 国税庁による「民間給与の実態調査」では、サラリーマンの給与総額は定率減税を導入した1999年以降、6年連続でマイナスとなっています。また、厚生労働省の行った国民生活基礎調査では「生活が苦しい」とこたえた世帯は過去最高の55.8%にのぼっています。
 景気は回復傾向との報道等もなされていますが、家計収入は定率減税の導入時より悪化し、回復とは縁遠い冷え込みが続いています。こうした事実を見てみましても、景気の実態は、定率減税を継続する理由となることはあっても、廃止する理由には到底ならないものであります。
 97年、橋本内閣は、経済が持ち直しかけていた時期に消費税率の引き上げをはじめとする国民への9兆円の負担増を行い、経済を失速させ、景気低迷の引き金を引く結果となりました。
 日本商工会議所は、9月14日にだした来年度税制改正要望において「個人消費に水を差すような政策はとるべきではない。したがって、定率減税の縮減を予定通り実施するかは、今後の景気動向を慎重に見極めることが必要である。もとより、平成18年度税制改正において、定率減税を全廃することは次期尚早であり、行うべきではない」と指摘しています。
 日本百貨店協会は、「一進一退にある個人消費を確実に悪化させる定率減税の縮減・廃止には反対である」と来年度税制改正要望のなかではっきりとのべております。さらには、日本チェーンストア協会、日本専門店会連盟、全国中小企業団体中央会など経済団体からも、1997年と同じ轍を踏んではならないと定率減税全廃への「反対」「慎重」の声が相次いであげられています。
 定率減税の全廃による国民への大増税は、家計収入にさらなる甚大な打撃を与え、購買力の低下、消費の低迷を引き起こす大きな要因となり、長期的視野でみれば税収の減少、経済の悪循環を招くことはあきらかであります。定率減税の全廃はこうした景気の側面からみても決して強行するべきものではありません。
 ところで、先月11月26日、自民党の武部幹事長が、北海道釧路市での講演で耐震強度偽造問題に関して、「悪者探しに終始するとマンション業界がつぶれる。不動産業界もまいってくる。景気がおかしくなるほどの大きな問題」とのべていますが、この発言は、景気、経済問題、耐震強度偽造問題の解決、いずれにおいても著しく的を得ないものです。
先日、不動産情報会社の「ネクスト」が、インターネットを通じて首都圏と近畿圏にすむ男女を対象に行った調査では、マンション購入に関して、「しばらくは控えるつもり」と答えた人が46%と最も多くなっています。マンション需要を再び増やし、経済へのマイナス要因を除くためには、ことの真相の究明、抜本的な解決策を示すことが重要だということです。
 今回の問題の要因として、1998年の建築基準法改正によって、それまで自治体が行ってきた建築確認を、規制緩和の名のもとに、国などの指定をうけた民間の確認検査機関も行えるようにしたことにあることは明らかであります。ここを正して、建築確認の中立・公正性の確保、地方公共団体の建築主事の体制強化を図ることが急務であります。
この点もあわせて指摘しまして、意見書についての趣旨説明と致します。





日本共産党熊本県議会議員 松岡徹
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