質疑・討論の主な内容
2005年 11月定例会 12月14日

2004年度一般会計歳入歳出決算についての討論

 2004年度一般会計歳入歳出決算について
 2004年度一般会計歳入歳出決算についての反対討論を行います。
決算審議においては、予算が適正に執行されたかどうかを審査するとともに、その行政効果、経済効果の測定、評価を行い、後年度の予算編成や行政執行に生きるような検討が求められており、その見地に立っていくつか述べたいと思います。
まず歳入における問題点です。歳入決算額は、前年度比1.8%、139億円の減となっています。歳入減の要因として地方交付税、国庫支出金、とりわけ地方交付税の減が大きな位置を占めています。この間、県財政改善のとりくみによって、県債残高の減少、4基金残高の増加などが図られてきましたが、こうした努力を押しつぶす、阻害要因に、国の政策がなっていることを端的に示しています。
三位一体改革の名による地方への財政縮減を許さず、税財源の確保、財政調整、財源保障機能としての地方交付税の安定確保を、執行部、議会、県民が一丸となって、国に働きかけていくことが求められています。
同時に県として、財政運用上のムダ、非効率をなくす取り組みがますます重要になってきています。

 まず川辺川ダム関係です。16年度においては、ダム工事、利水工事ともに止まっているなかでさえ、ダム事業、利水事業費の償還費など16億5300万円の支出がなされています。
 川辺川ダム建設では、収用裁決取り下げとなった事業費2650億円の計画でさえ、私の試算によると、熊本県の今後の負担は、利子を含めると296億3千6百万円となります。昨年国交省が示した3300億円規模になれば、元利合計して、469億4千9百万円の県負担であります。県財政の現状と厳しい見通しからすると川辺川ダム建設は検討の余地すらないほど成り立ちえないものです。
先日のテレビ番組で、鳥取県の片山知事が、「ダムよりも河川改修がうんと金がかかるとなっていたが、仔細に検討したら、ダム以外の治水対策が大幅に安いことがわかり、県の中部ダムを中止した」と中部ダム中止のいきさつを語っておられました。
 同知事は、「日本居住福祉学会」の講演で、「鳥取県においては、240億円規模のダムを中止し、治水対策をそれに変わるやり方で行い、リザーブした200億円を、鳥取西部地震における住宅再建300万円の支援費などに当てた」ということを述べています。財政の効率化をはかり、少ない金で効果的な施策を展開する、浮いた金は県民のために使うといった一つの事例です。
ダムの規模、事業主体など、違いは勿論ありますが、視点としては県としても参考にすべきでありましょう。

 たびたび本会議でとりあげておりますが法的根拠もない同和関係の支出の問題であります。補助金だけで5370万円が支出されております。この外、部落解放全九州研修会、西日本夏季講座、研究全国集会、熊本県集会、全日本同和会県連研修大会、九州連合会研修大会等々、さまざまな集会などへの県職員・教員の公費派遣がなされています。それら全体をあわせますとさらに多額の支出になります。こうした財政支出について認定することは断じてできません。
9月議会での一般質問の後、私のホ−ムージを見て、現場の当事者から、直接面談しての訴えがなされました。
 その概要は、一人の教員に対して、その人の人権、人間としての誇りと尊厳を全面否定するような――本会議で紹介するのもはばかるようなー罵声が加えられたとのことです。その教員が、知り合いに、「障害者差別と部落差別は違うのか?」と相談したところ、そのことをもって「外部にもらした」と、校長、町教委などから、さらには解放同盟の幹部からも、執拗に、謝罪を求められ、その先生は学校に行けない状況に精神的に追い込まれたというものです。ほかにも詳しい事実経過をお聞きいたしましたが、涙をこぼしながらの必死の訴えでありました。
このような、人に対して、耐えがたい苦しみ、侮辱をもたらす行為が、人権あるいは部落解放等に相容れないことは明らかです。
 こうした逆差別と不当な行為を下支えする役割を、県の多額の補助金等が果たしているわけです。同和団体への補助金の支出等は断固廃止すべきであります。
 
 次に県発注工事落札率が98%―高値全国1と指摘されている問題です。もとより落札は安ければ安いほどよいと単純にいえるものではありません。ダンピング、手抜き工事の防止、下請けや労働者・従業員への転化などを避けるための工夫と措置を当然とらなければなりません。
公共事業は、社会資本を整備する事業であり、公共事業予算を通じての産業政策です。こうした性格を持つ公共事業を市場に押し出すのが入札であります。公共事業を発注する行政、さらには受注する建設業界への国民・県民の信頼を左右する重要な役割を担っています。
 県発注事業への入札制度の改革については、監査委員の審査意見書においても、「一般競争入札の導入拡大を進めるべきである」などと改善を求める指摘がなされています
 条件付一般競争入札の対象事業を、長崎県・大分県のように1億円以上まで広げるなど、入札の公正性をいっそう高めるとともに、財政支出の面でも改善を進める必要があります。
以上、2004年度一般会計決算に対する討論といたします。





日本共産党熊本県議会議員 松岡徹
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