質疑・討論の主な内容
2005年 6月定例会 6月30日

「イラク人道復興支援活動に派遣された自衛隊への支援決議」への反対討論


イラクにおいては、6月28日で主権移譲から1年を迎えましたが、治安悪化が依然として深刻な状況となっています。この間、首都バグダッドや北西部を中心に米軍とイラク軍が大規模な「武力勢力」掃討作戦を実施し、民間人犠牲者が拡大する一方、これに対抗するかのように米軍や治安部隊を狙った自爆攻撃やテロが激しさを増しています。このようななか自衛隊の車列に対する爆弾攻撃がなされています。
移行政府が発足した4月28日後も、イラク人死者は1200名を大幅に超えているという状況です。また、米軍のイラク侵略開始以来、死亡した米兵は1600人を超え、2万人とされる軍事会社要員の死者も200人を超えているほか、イラクの人々の犠牲者数は、少なくとも数万人、10万人を超すとの推計も示されているところです。

 イラク戦争は、大量破壊兵器問題に端的に示されるように、虚偽によって開始され、すすめられてきた不法、無法な戦争であります。大義のない戦争への自衛隊派遣が誤りであることは明らかです。
 米軍の武力占領支配と各地での戦闘、テロの続発といった危険極まりないイラクに、自衛隊を新たに派兵することは、憲法はもとよりイラク特措法にも背くことであり、思いを言うにいえない自衛隊家族をはじめ日本国民に新たな危険と不幸、悲しみをもたらすことになりかねません。
 「人道復興支援」ということですが、現在のイラクでの自衛隊の活動状況はどうなっているかが問題です。
防衛庁資料や4月13日に行われた衆議院、「国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別委員会」における政府答弁によると、サマワでの自衛隊活動の最大の柱であった給水活動は、日本のODAによる浄水装置の稼動で、今年の2月5日以降なされていません。また、自衛隊が現地で行っているのは、例えば「県知事公舎前の多目的広場の緑化」「スポーツクラブの照明施設の補修」「屋外バスケット施設のコートの補修」「女子高前噴水の補修」等ということであります。さらに、自衛隊が砂利舗装したあとを、日本の外務省がODAで現地業者を雇って舗装しているという状況です。現地の業者がアスファルト舗装を行っているということであれば、最初の砂利舗装の段階から外務省の資金援助で現地に任せることも十分に可能であり、道路の砂利舗装が自衛隊で、アスファルト舗装は地元の業者でなければならない理由は全くありません。
現在イラクにおいて復興支援活動に関する自衛隊の役割や意義はもはや存在をするものではなく、人道復興支援活動の面から見ても早急に自衛隊は撤退すべきであります。   
 第8師団を含む自衛隊を新たに派遣することは、自衛隊員の人命を軽んじ、家族に身を削る苦しみを負わせるものにほかなりません。
 最近被爆者の方々、あるいは傷痍軍人の方と接する機会がありました。原爆の後遺症、戦地で受けた傷の痛み、これらの方々にとっては、戦争の痛み、悲しみは続いています。 
 靖国神社の問題、歴史教科書問題を通じて、昨今、310万人の日本国民、2000万人のアジアの人々を犠牲にした戦争を、「肯定」するような動きや風潮が一部にありますが、これらは歴史の教訓、世界の流れに著しく背くものです。
 今年は、戦後60年、60年目の8月6日、9日、15日をやがて迎えます。世界においては、第2次世界大戦終結60年です。世界は、日本・ドイツ・イタリアが行った戦争について、いかなる大義も持たない、不正義の戦争という共通の認識でもって戦後を出発し、60年目の今年を迎えています。
 憲法9条は、日本とアジアのみならず、21世紀の世界のためにも益々重要性を増していると言っても過言ではありません。憲法9条の平和原則を踏みにじり自衛隊のイラク派兵がなされました。これは正さなければならないことであって、継続すべきもの、支援すべきものでは断じてありません。
 派遣された自衛田支援を求める議員提出議案第3号には、厳しく反対するものです。





日本共産党熊本県議会議員 松岡徹
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