質疑・討論の主な内容
2005年 6月定例会 6月30日

「都道府県議会制度の充実強化に関する意見書」についての質疑



松岡
「都道府県議会制度の充実強化に関する意見書」については、基本的に賛同するものですが、いくつか提出者に伺いたい点があります。
「今こそ、地方議会の改革を」と題する都道府県議会制度研究会の中間報告が出されております。この中間報告では、地方議会の改革・改善方向として考えるべき点として、「首長に対する監視機能」「質問・質疑権の行使をとおして、……首長の政策を修正し、代案を提示する機能」そして「政策立案機能」の3点をあげています。こうした中間報告をふまえて、2点ほど伺いたいと思います。
 質疑の第一点は、議会の招集権を議長に移すということについてですが、中間報告でも、「定例会は、予算や決算の提出者である首長により、その提出にあわせて招集され、その審議も予算や決算という重要議案の審議を中心に行われるという実態があることから…首長とあらかじめ協議する仕組みを導入すること」を指摘しています。
 また臨時議会の場合、「招集請求があった場合には、一定期間内の議会招集を議長に義務付けること」を提起しています。これらについてはいかがお考えでしょうか。
 次に、県議会自らの改革についてであります。二元代表制のもとで、県議会が住民の代表機関として、その役割を十分に果たしていくうえで、県民の要望、意向を正確に把握し、生かしていくことが必要です。そのための制度として、参考人、公聴会制度がありますが、実態としてはあまり活用されておりません。
 この点について、中間報告では、「議会は住民の直接選挙により選ばれた議員により構成され、議員は日常の議員活動により、住民意識の吸収に努めているかぎり、議案の審査等について、改めて住民の意見を聞く必要はないという主張もある。けれども、民意が多様化している今日、日常の議員活動で把握できる住民の声は、量的にも範囲的にも限界があろう。…地方分権の時代を迎え、議会が従来にもましてその役割を十分に果たしていくには、何よりも民意をその意思決定に反映させていく工夫を講じていかなければならない。そのためには、議員と住民の間もさることながら、議員の集合体である議会と住民の間にも、より密接な関係を築いていく必要がある」と指摘し、当初予算審議の際の公聴会開催、請願審査にあたってできるだけ請願者を参考人として招請する、所管事務調査においては、学識経験者に限らず、一般住民を積極的に参考人として招請することなどを提起しています。
 法や仕組みのうえでの改革を求めて、政府等に意見や提言を積極的に行うと同時に、現在の法と仕組みのなかで、自らできる改革については、果断にすすめていくことが必要ではないかと思います。意見書の主旨が、議会の更なる活性化のためにということでありますので、関連して伺いたいと思います。

(答弁)
この際、経緯から申し上げたいと思います。2元代表制の下で、協議会が住民の代表機関としてその役割を果たしていくためには、議会に係る地方自治法の制約的規定の緩和、見直しが必要になってきております。そうした中で、第28次地方制度調査会が、地方議会のあり方を全面的に審議することになり、全国議長会はこの機会をとらえて地方議会の機能強化に係る制度改革の実現を図るため、平成16年4月に外部の有識者で構成する都道府県議会制度研究会を立ち上げ、これまで14回に及ぶ会合を開催し、地方議会の改革について検討を重ねてこられたところであります。この制度研究会が本年の3月に取りまとめた中間報告を受けて、全国議長会は地方制度調査会専門小委員会に議会制度の抜本的な改正事項の提言要望を行ったところでございます。
また、去る5月に開催された全国議長会臨時総会の場で、都道府県議会制度の充実・強化に関する17の事項について、国の関係機関へ要望することが決定され、あわせて各都道府県議会には同趣旨の意見書を国の関係機関へ提出もらいたい旨の要請があったところでございます。この中間報告で、これまで私たちが考えていた地方議会制度の充実・強化に係る事項がおおむね記述されており、今回なされました全国議長会からの国の要望は、熊本県議会としても賛同すべきものと判断し、今回の意見書提出にいたったものであります。
さて、議員の質疑についてでありますが、まず議長への議会召集権の付与については、中間報告でも述べられているとおり、議会と知事とが対等・均衡の関係に立ち、2元代表制という制度の趣旨から、議会自ら会議を開くことができる制度に改めるべきということでありますが、議長が議会を召集するにあたり、あらかじめ知事と協議する仕組みを設けることについては、法改正と合わせて考えてもよいのではないかと思っております。また、臨時会の招集については、議員からの召集要求があった場合、一定期間内の召集を議長に義務付ける処置は必要であると思われます。
次に住民参加の問題でありますが、議会が住民代表機能を果たすために、住民の要望・要請など、民意を吸収することは議会の活性化のひとつとして取り組んでいかなければならない重要な問題であると認識をいたしております。いずれにいたしましても、今回の意見書提出は、都道府県議会制度研究会の中間報告を受けて、全国議長会として要望した事項について、各都道府県議会が歩調を合わせて国に意見書を提出し、議会制度の充実・強化のための法改正を求めるものであります。





日本共産党熊本県議会議員 松岡徹
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