質疑・討論の主な内容
2005年 6月定例会 6月30日

知事の知事提出議案や請願についての討論>
 ・「手数料条例の一部改正」について
 
県税条例の一部改正について
 ・「市町村合併推進審議会条例の制定」について/FONT>
 ・「県公立大学法人評価委員会条例の制定」、「公立大学法人熊本県   立大学定款の制定」について
 ・指定管理者制度導入に係る条例制定について
 ・「政務調査費の使途金の明確化と公開に関する請願」について


知事の知事提出議案や請願についての討論

「手数料条例の一部改正」について

「手数料条例の一部改正」は、特例容積率適用地域の拡大などにより、居住環境の悪化、破壊をすすめる内容を含んでいます。従来商業地域だけに限定されていた特例容積率適用地域を、第1種、第2種中高層住宅専用地域や第1種・2種住宅、準居住、準工業地域にまで拡大することにより、従来の容積率の2倍近い容積の建築物が建てられます。98年、2000年の建築基準法の連続改正で、建築物の高層化を促す規制緩和がなされましたが、これに加えての今回の改正で、居住地域に住環境を壊す高層の建築物が建てられるという事態はいっそうすすむことが懸念されます。健康的な住みよい住環境を守る点で、賛成できません。
 
県税条例の一部改正について
県税条例の一部改正は、65歳以上の高齢者の非課税廃止を含んでいます。地方税法改正においては、年収1174万円以上の高額所得者には課税限度額を引き下げたまま据え置き、所得税とあわせて5000億円の減税を継続したまま、所得の低い高齢者には課税を増やすというもので、到底容認できません。

「市町村合併推進審議会条例の制定」について
「市町村合併推進審議会条例の制定」ですが、合併特例法の期限、05年3月31日までの新市町村スタートという規定を、同日まで関係市町村議会に議決を経て都道府県知事に申請すれば適用すると法改正するなど、無理に無理を重ねて現在の到達が計られました。
 本来県と市町村は対等の関係にあります。市町村の問題で、「県に何とかして欲しい」との県民からの相談がありますが、こうした場合、決まって「対等関係ですので、市町村に対する指導はできません」という返事が返ってきます。合併問題も基本は同じです。むしろ合併問題は、憲法に書かれているように、地方自治の最たる問題です。
 そうした大問題を、対等である一方の県が、構想をつくったり、あれこれすることは、大変な行き過ぎた行為であり、市町村の「自主性」「自律」を侵す、重大問題です。
 これ以上の無理はせず、市町村の名実ともの自主的判断と営みによる行方を見守るべきであります。合併推進審議会の設置には同意できません。

「県公立大学法人評価委員会条例の制定」、「公立大学法人熊本県立大学定款の制定」について
「学問の自由は、これを保障する」と定めています。これは個人の人権としての学問の自由のみでなく、大學の学問の自由を保障したものです。戦前の滝川事件に見られるような学問研究への干渉を行う政治が、いかに国の道を誤まらせるかは歴史が証明しています。学問研究は、真理探究のために欠くことのできないものです。これを保障するのが大学の自治であり、大学の自治は、学問の自由のなかに含まれていると解されています。
 大学の自治の中身としては、学長・教授その他の研究者の人事の自治および施設・学生の管理の自治、予算管理の自治などがありますが、特に学長・教授その他の研究者の人事へのいかなる干渉・介入もあってはならないものです。
 大学の研究が、その時々の政治や企業の要請に左右され、制度的保障である人事や機構が、その時々の為政者の意向によってなされるようになることは、学問研究の自由、大学の自治の死を意味します。地方独立行政法人法に基づくものとはいえ、4号、35号議案は、学問研究の自由、大学の自治の視点で、大学内の議論も広く保障し、再考すべきであります。

指定管理者制度導入に係る条例制定について
 指定管理者制度については、昨年の6月議会の反対討論で述べているとおりですが、「公の施設」とは、地方自治法において、「住民の福祉を増進する目的を持ってその利用に供するための組織」とされています。総合福祉センター、県立劇場、総合体育館も、そうした目的のもと、国民、県民の税金を投入して設置されたものです。こうしたものを、株式会社など民間営利企業の管理にゆだねることは、その本来の目的の低下、喪失につながるものです。福祉と住民サービスの充実、文化、スポーツの振興に対する自治体が負うべき責務を弱め、狭めるものとして、第10号、11号、29号議案には反対いたします。
 今議会の一般質問の答弁のなかで示された、潮谷知事の憲法9条についての認識、幼児教育、福祉、保育、教育についての熱い思いと豊かな見識については、感動を持って聞いたところです。
 最悪の県の財政事情、政府の政策誘導のもとでは、容易ならざるものではありましょうが、知事が、182万県民の支援、県職員の英知、県議会における良識の結集のもと、「県民中心の県政」へ邁進されることを願いつつ、知事提出議案の中で、同意できない主な議案への反対討論といたします。

「政務調査費の使途金の明確化と公開に関する請願」について
今議会に提出されている、都道府県議会制度の充実強化に関する意見書も、「地方議会の役割と責任」の重要性を指摘しています。県議会の役割と責任をしっかり果たすうえでは、われわれ議員自身が、政策調査活動に励み、政策提言能力を高め、県政の発展、県民の福祉、暮らしの充実のために全力をつくすことが不可欠の前提です。
 同時に、県の公費である議員の政策調査活動等に使用する政務調査費については、ガラス張り公開を原則にして、活用の有効性もさらに高め、そのことによって県民の理解と信頼をえることが重要です。請願は採択すべきであり、不採択については、厳しく反対するものです。





日本共産党熊本県議会議員 松岡徹
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